今回は、配偶者と死に別れ、身寄りがなくなってしまった高齢女性のサポートについて見ていきます。※本連載は、「一人暮らし高齢者」の見守り支援を行うNPO法人の設立者である大野益通氏の著書『一人暮らしで生きていくための任意後見入門』から一部を抜粋し、任意後見制度を利用した高齢者支援について見ていきます。

日常生活全般に、ご主人のサポートが必要だったが・・・

女性のBさん、70歳。家事や身の回りのことをするのに不安があり、情緒面でも、完全に自立して生活する能力は不十分な状態にあります。これまでは75歳のご主人と二人で暮らしていました。そのご主人が、ある日、脳梗塞で倒れたのです。

 

その後、ご主人が、亡くなりました。脳梗塞で倒れ、入院したご主人は、退院して数ヵ月はリハビリにつとめながら、Bさんの介護もしていました。

 

いっぽうBさんは、要介護認定を受け、居宅介護支援で、訪問介護とデイサービスを受けるようになりましたが、ご主人の助けがなくてはデイサービスに出かける準備もなかなか整いません。そんなある日、車で病院にむかう途中、ご主人が亡くなったとのことです。搬送された病院から警察に連絡があり、死亡の確認が行われました。

身元保証人がなくては、施設への入居は難しい

ご主人が亡くなった後の役所への手続きなどもBさん一人では難しい様子です。とりあえず、Bさんは介護支援をおこなっていた介護事業所の宿泊サービス施設に数日間、宿泊しました。しかし、そこは短期の施設で、一人暮らしになったBさんは今後、どこで暮らせばよいのでしょうか。Bさんの生活や身の回りのサポートは、誰がするのでしょうか。Bさんの近親者(きょうだい)も病気で、身を寄せるところはありません。

 

身寄りがなく、自立して一人暮らしをすることが難しい方が、自身の安心安全のため、「施設に入りたい」と願っても、身元保証人がいなければ入所できません。

 

【図表】Bさんが抱える問題

一人暮らしで生きていくための任意後見入門

一人暮らしで生きていくための任意後見入門

大野 益通

弓立社

身寄り・頼れる人がいない「おひとり様」でも、ご本人の思いにそった老後の生活・エンディングを実現することができる。 6人の高齢者のケースから、一人暮らしの高齢者が、施設入所・入院、死後の始末、葬儀・供養を託して、…

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