今回は、一人暮らしの高齢者をサポートする「継続的見守り契約」を見ていきます。※本連載は、「一人暮らし高齢者」の見守り支援を行うNPO法人の設立者である大野益通氏の著書『一人暮らしで生きていくための任意後見入門』から一部を抜粋し、任意後見制度を利用した高齢者支援について見ていきます。
当事者間の合意で効力が生じ、内容は自由に決められる
継続的見守り契約は、おもに一人暮らしの高齢者(判断能力がしっかりしているご本人)とのあいだで、定期的に訪問・連絡をとることにより、健康状態や生活状況などを把握して、その方が安全に生活できるようにサポートする契約です。なにか困ったことが起きた場合の相談相手にもなることもできます。
この契約は、当事者間の合意のみで効力が生じ、内容も自由に定めることができます。なお、契約内容を確実に履行するために、公証役場で公正証書により契約を作成しておくことが、のぞましいでしょう。
[継続的見守り契約]と[任意後見契約](移行型)を、同時に結んでおくことによって、認知症などによってご本人の判断能力が不十分になったときの対応をとることができます。その場合、[継続的見守り契約]委任受任者が、家庭裁判所に任意後見監督人の選任を申し立て、家庭裁判所により任意監督人が選任され、任意後見契約へと移行することができます。
[図表1]継続的見守り支援契約書ひな形
[図表2]継続的見守り支援契約書ひな形
株式会社おおの 代表取締役
えくぼ法人後見人事務所 代表
NPO 法人 市民後見人センターとちぎ 代表理事
1952年栃木県生まれ。
東京大学市民後見人養成講座を修了。市民後見人として、2006年NPO 法人「市民後見人センターとちぎ」を設立。代表理事をつとめる。
とくに、身寄りのない高齢者、障がい者など社会的弱者の生活サポートなど、地域福祉向上にとりくむ。2016年、おひとり様のための葬儀・永代供養・法要を目的とした「株式会社えくぼ」を設立。
著書に『一万人を見送ったおくりびとの覚書』『任意後見信託ノート』(共に弓立社)。
NPO法人「市民後見人センターとちぎ」
頼れる人・家族が身近にいない高齢者の、日々の見守り、入院・老人施設入所時の身元保証、任意後見による身上監護と財産管理、死後の諸手続きなど種々のサポートを、公正証書にもとづいておこなっている。
ホームページ:http://koken-nin.com/
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