一番有利なのは、実は「日本の中古車」?
1970年代のベンツによるセダンと、1950年代半ばから1960年代半ば頃に生産されたフォルクスワーゲン=ビートルは市場への供給量が多いため、スリランカでは低価格になっている典型例だ。これらの2車種は高級クラシックカーよりも早く価値が上がる傾向があるため、投資対象としてお勧めできる。
スリランカでは、大抵熱心なコレクターは事業が順調なビジネスマンであり、コレクションの数も多くて5、6台ほどだろう。しかし、クラシックカーの購入はエリート層のコレクターに限ったことではない。
だいたい狂熱的なファンは、この優美だが年季の入ったクラシックカーを1、2台ほど、長い時間をかけて修復しメンテナンスするのだ。長期的に付き合うことを念頭に、自分にとってふさわしい予算に見合った車を購入できれば、その見返りは驚くほどのものになる可能性もある。
その長期的な付き合いに適しているのは、もしかすると1960年代から1970年代初期の日本車かもしれない。いくつかの車種はそこまで高くはないし、スリランカでは所有者も安値で手放す。しかし、世界的に見ると探すのは困難なため、それらの日本車の価値は急騰している。
その一方で、ベンツやポルシェやフェラーリの上級モデルの価格は、それよりランクが劣るクラシックカーよりも早いスピードで上がっている。人々は名声を得ることを目的にそれらを購入するので、手放すのも早いのだ。
自動車だけでなく「バイク」も投資対象
スリランカにはクラシックカーのコレクターは多いが、ヴィンテージのバイクを集める人はほとんどいない。場合によっては、クラシックバイクはクラシックカーよりも高額な値段が付く。
手入れが整っているクラシックバイクは、同じ状態のクラシックカーを見つけるよりも困難である。なぜならバイクは、車よりも事故に遭うなど損傷している傾向があるからだ。良い状態のヴィンテージのバイクは大金そのものだ。またバイクの方がメンテナンスや保管も楽であるというメリットがある。
車にせよバイクにせよ、クラシックカー投資に手を出す人たちにとって一番重要なのは、投資対象がもたらしてくれる喜びだ。スリランカのある経営者は45台のクラシックカーとバイクを所有しているが、「これらのヴィンテージ車を運転するのはとても気持ちいいのです」と話す。
「道路にいる誰もが、思わずブレーキを掛け、こちらを見てしまいます。ですので思いのままに道を走れますよ。たとえバスやトゥクトゥクがいてもです!なぜなら皆、童心に帰るからです。皆、自分の両親や祖父母が同じ車種に乗っていたことを思い出し、目に涙を浮かべます」
次回は、第3の事例であるスリランカの現代アート投資についてご説明します。