写真:GTACスタッフ

現在、最大手のオークション会社を含めた業界関係者の多くが、スリランカの現代アート投資の動向に注目しています。今回からは3回にわたり、スリランカのアート投資事情をお届けします。

世界から注目されるスリランカの現代アート

スリランカの現代アートへの投資を検討している人にとって、今はまさにチャンスだ。スリランカの現代アート業界は、次の段階に進もうとしている。昨年、パイオニア的存在であるロンドンのオークション会社クリスティーズ社の代表が、スリランカのアートシーンを覗きに訪れ、その結果、世界中のキュレーターがスリランカで生まれているアートを見に足を運ぶようになった。

 

スリランカの現代アートに対する世界的な関心の高まりは、ここ数年勢いよく上昇する価格に表われている。業界関係者は毎年平均で10%から20%値上がるだろうと予測している。これは非常に稀なケースだが、何人かのアーティストによる作品の価値は、2009年に比べ6倍も上がった。

 

スリランカの現代アートシーンのこの動きは、内戦終結後の経済成長と大いに関わりがある。経済や政治に安定が戻ると、人々が様々な投資に前向きになるのは自然だろう。スリランカにはいつの時代だってアートコレクターはいたが、ここ数年はより新しいアートを求める若いコレクターたちのブームが突然巻き起こった。それと同時に国外でも、スリランカに対して興味を持つ人々が増えている。

 

ギャラリスト兼キュレーターであるSaskia Fernando氏はこの変化をただ見つめていたわけではなく、おそらく中心的な仕掛け人であるはずだ。

 

「現在、私たちは現代アートの評価が高まっている転機を迎えています」とFernando氏は話す。「これは、世界的な関心の高まりとともに起きています。以前より、一流ギャラリーが増え、展覧会もスリランカ国内のものから国際的なものまで多く開催されるようになりました」

 

Fernando氏はさらにこう続けた、「長いことスリランカのアートシーンを観察し続け、この転機を待っていたクリスティーズ社のようなオークション会社からもスリランカは注目されています。彼らは何かしらの変化に気付けば、すぐにオークション内でその国のアートを取り上げ始めます」

スリランカのアート業界発展の鍵を握る「国内」投資家

Fernando氏が2009年に自身のギャラリーをオープンして以来、スリランカ現代アート界において価格が高騰していくのを目撃してきた。それでも今から参入するには遅くはないと同氏は考えている。

 

なぜなら、これでもまだ国際水準よりは依然安いからだという。ギャラリーのオープン当初、購入者の大半は外国人だったが、この比率も変わり始めている。スリランカ人のコレクターがどんどん増えており、彼らが作品の価格や現代アート界そのものを動かし始めている。

 

Fernando氏は、購買力がある人は自国のアーティストを支援する責任があると感じている。「購買力がある人々が自国のアートの収集にもっと関わることが大切だと考えています」と彼女は話す。

 

「大抵、人々は海外の動向を気にします。あるいは、アートへの投資とは裏腹に、高級家具に対しては喜んでお金を支払います。スリランカ人が、世界的な関心をどんどん惹きつける中で、自国のアートシーンで何が起きているのかを理解し始めることが非常に重要です」


次回は、スリランカにおいてアート投資するうえでの課題をご紹介します。

この連載は、GTACが提携するスリランカのメディア「ECHELON」が2015年10月に掲載した記事「Collectibles As Investment Assets」を、翻訳・編集したものです。

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