利益を追求しながら趣味にもなる一石二鳥のコレクション投資。その投資対象はさまざまですが、まずは世界的に人気を誇る「アメコミ漫画」に投資しているスリランカの投資家を、2回にわたって取り上げます。

ニコラス=ケイジを金銭的に救った希少漫画

漫画のスーパーヒーローたちは、幼少期に楽しむファンタジー以上のものだ。多くのヒーローファンは、希少価値が高い漫画本・フィギュアなどのコレクションに莫大なお金をつぎ込む。1990年代には縮小していた業界も、両親が共に戦後生まれであるY世代(※1)のファンを、新たに何百万人という規模で獲得した一連の大作映画のおかげで、また成長を見せ始めている。オタクのためのファンタジーだったものが、メイン・ストリームにのぼりつめたのだ。

 

漫画コレクターも最初は一人のファンだ。一冊の漫画本をプレゼントされたり、友達から借りたことをきっかけにして、ファンタジーの世界へと惹き込まれる。いつしか彼らは最初のうちには分からなかった魅力が、ヒーローや悪役たちに宿っていることを発見する。そして彼らは自身の不安やコンプレックスや強みを、スーパーヒーローたちの姿に重ねあわせるようになる。

 

やがてファンが自分たちの欲しいものをお互いに物々交換しだすと、どのような対象なら価値が高騰し、どのようなものはしないかが分かり始める。そして純粋な漫画ファンから投資家へと転向するのだ。若いコレクターにおいては、こういうケースは度々起こる。

 

スーパーマンが初登場する1938年発行のアクションコミックスの第1号は、2013年に17万5千ドルで売却された。2002年には、ハリウッドスターであるニコラス=ケイジが金銭的窮地から抜け出すために、自身の漫画コレクションを犠牲にした。彼が個人売却とオークションで売ったコレクションの総額は、200万ドルにも及んだという。

漫画家の知名度や保存状態が「価値」を生む

しかし、全ての漫画が均等に出版(あるいは保存)されているわけではない。何千ドルで売れるものもあれば、小銭程度にしかならないものもある。

 

漫画家が、将来の漫画の評価を決定づける。通常、漫画はアメリカでは1冊3ドルほどだ。しかし、有名なコミックライターであるグレック=ルッカ氏やスタン=リー氏(※2)がサインすれば、その価格は急騰する。ニューヨークで一番の漫画販売会社はスタン=リー氏によるサイン入りの漫画を1冊500ドルで売っている。

 

古い版であることも重要だ。1930年代初期のものは、保存状態が良いものがほとんどないので価値がある。当時は1冊あたりの部数も少なく、また主な読者が子供たちだったため、漫画がすぐに痛んだり無くなったりした。コレクターによってきちんと保管された(あるいは、何十年後になって誰かの家の屋根裏で発見された)状態の良いものは希少で貴重だ。

 

限定版であった特別号や人気キャラクターが初登場した号(たとえば『超人ハルク』で初めてウルヴァリンが登場した号など)は、値段が早く高騰する傾向にある。また、あらゆる本の収集と同様、漫画の保存状態も重要だ。同じ漫画でも、新品同様のものとちょっとでも破れているものでは、価格に雲泥の差がつく。


次回は、漫画のコレクション投資がもたらすお金以外のメリットをご紹介します。

 

※1 Y世代

ジェネレーションY(Generation Y)とは第二次世界大戦後のベビーブームに生まれた両親を持つ世代のこと。

※2 スタン=リー

Stan LeeはDCコミックスと双璧をなすマーベル社に勤め「スパイダーマン」や「X-メン」の原作を手がけたアメコミ界の重鎮。

この連載は、GTACが提携するスリランカのメディア「ECHELON」が2015年10月に掲載した記事「Collectibles As Investment Assets」を、翻訳・編集したものです。

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