自身の役員報酬をやむなく高額にしている場合の改善策とは?

自身の役員報酬をやむなく高額にしている場合の改善策とは?

前回は、「節税マトリックス」の図をベースとしてタイプ別に分け、タイプ1で取るべき対策について解説しました。今回は、「タイプ2 役員報酬をやむなく高額にしているが個人の税負担が重い」と「タイプ3 社歴が長く事業承継を意識し始めている」について見ていきます。

法人税を下げるために役員報酬を高額にしても・・・

前回に引き続き、タイプ別マトリックスの各タイプを見ていきます。今回は、タイプ2とタイプ3について解説します。

 

【タイプ2】役員報酬をやむなく高額にしているが個人の税負担が重い

なぜ、役員報酬を「やむなく」高額にしているのでしょうか? このタイプが抱える問題のカギは、そこにあります。単に、「儲かってるから個人でたくさんもらっている」という話ではありません。

 

社歴が古く、業績は堅調に推移、先行投資は終わっていて回収段階にある――このタイプの企業は、新たな設備投資などがなく、経費が発生しないため、利益が出れば出るほど法人税が高額になります。

 

法人税で持っていかれるくらいなら・・・ということで、社長個人の給料を上げて利益調整をするために役員報酬を高額にしているのです。決して、「自分の取り分を増やしたい」ということではありません。

 

ただ、役員報酬を増やしても実は問題は解決しません。役員報酬を増やした結果、何が起こるかというと、個人の所得税・住民税が高額になってしまいます。所得税は、所得が増えるにつれて税率が上がり、手取りが増えた実感があまりないのです。つまり、単に役員報酬を増やすという策では、期待した効果が望めません。

 

タイプ2の社長は、ある程度の節税対策はすでに実施していて、「ほかに方法がない」と思われているかもしれませんが、まだ取れる対策はあります。具体的には次の方法です。

 

●役員住宅を社宅にすることで所得税負担を減らせる


役員の住宅は、個人で借りるより会社で借りて、それを役員個人に社宅として貸し、社宅にしたほうが、個人の手取りが増えるメリットがあります。

事業承継を意識したら、自社株対策が最優先

【タイプ3】社歴が長く事業承継を意識し始めている

社歴30年以上、法人の純資産は3億円以上。オーナー社長は70歳前後で、後継者候補となっている子供は30代後半〜40代前半。そろそろ代替わりを意識し始めているというのがタイプ3の典型的な人物像です。業種や業態による差はそれほどないといってよいでしょう。

 

オーナー社長は、事業承継について考え始めているけれど、まだ特に具体的な策は取っておらず、まず何から始めようかと悩んでいるところかもしれません。ご自分が元気なのに、まだ頼りない後継者候補に本当にすべてを譲っていいのかという部分での悩みもあるでしょう。

 

一方、後継者となるお子さんの立場からすると、急に相続が起こると困るため、早く何らかの策を取ってほしいと考えている可能性があります。自社株に対する策を何も講じていない場合、株価が高くなっていて、いざ贈与や相続の際に莫大な税金の支払いが発生する可能性があります。

 

また、自社株が後継者以外の親族、後継者の兄弟姉妹、社長の兄弟姉妹などに分散されている場合には、スムーズな事業承継ができなくなる心配もあります。そこで自社株対策によって株価を引き下げることで節税と同時に、株式の集中もしやすくします。一刻も早く、自社株対策を始めることが重要です。

 

自社株評価を引き下げる対策を実施して、生前贈与・相続の準備をする自社株の評価を引き下げるには、次のような方法があります。


●時価発行増資を使って相続財産を圧縮する
●持株会社の設立で株価の低い株式に持ち替える


もちろん、自社株対策をしていったん株価を下げても、そのままでは再び株価が上昇していく可能性があります。自社株対策を実施したら、引き続き生前贈与や相続のための対策も進めていくことが肝心です。

 

次回は、タイプ4とタイプ5について見ていきます。

本連載は、2013年2月4日刊行の書籍『戦略的「節税」経営』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

戦略的「節税」経営

戦略的「節税」経営

越田 学

幻冬舎メディアコンサルティング

日本の多くの中小企業オーナーが、過大な税負担に悩んでいます。法人では、海外に比べて高い税率の法人税。個人では、金額に応じて税率が上がる所得税。さらに、将来の事業承継を考えたときには、贈与・相続税の問題が重くのし…

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