今回は、大富豪の冷静な投資判断を支える「勝率は1割」という認識について見ていきます。※本連載は、日本バトラー&コンシェルジュ株式会社の代表取締役、新井直之氏の著書、『執事だけが知っている世界の大富豪53のお金の哲学』を一部抜粋し、総資産50億円以上の大富豪に仕えた執事だけが知っている「富の築き方」をご紹介します。

損切りが早いのは、多くの大富豪の共通点

金融商品に投資するとき、少しでもお金を儲けたいと思うもの。できることなら、毎回大きく儲けて勝ちつづけたいでしょう。ところが、ある大富豪は「投資で勝つ回数は1割で十分」と断言します。

 

その方は主に株式投資をされているので、「どんな株を買っていらっしゃるのですか?」と尋ねてみたところ、確かにどれも大きく値を上げている銘柄ではありません。ほとんどが現状維持の安定的な株で、なかには値が少し下がっているものも交じっています。

 

その方は、10回投資したら9回は損をしていました。それでも涼しい顔でこうおっしゃいます。

 

「絶対に負けたくないと思うと、価格が下がりはじめてもなかなか売ることができなくて、結局は大損することが多い。『勝つのは1割。9割負けてもかまわない』、そう考えると冷静な判断ができるんだ」

 

自分が持っている株の値が下がったら、せめて買ったときの価格に戻ってから売却しようという気持ちが働くものです。その結果、売りどきを逃してしまい、あげくには買い値よりずいぶん安い価格で売らざるを得なかった、という話はよく耳にします。

 

その大富豪は、株価が投資したときから1割下がったら、躊躇(ちゅうちょ)なく売ってしまいます。損切りが早いのは、多くの大富豪の共通点です。

投資商品を売るタイミングは「上昇角度」から判断

しかし、いくら損切りがうまくても、どこかで勝たなければ財産は目減りする一方です。大富豪がすごいのは、1回の勝ちで9回の負けを補って余りある利益を出すところです。私のお客さまにも、投資した額の10倍、100倍と増やす方が少なくありません。

 

肝心なのは、数少ない勝ちで大きく儲けるコツです。投資上手で知られる大富豪はこう話していました。


「大切なのは売るタイミングだ。少し値が上がったからとすぐに売ってしまっては、たいした儲けにならない」

 

その方は、持っている投資商品の価格が上がりはじめると、〝上昇角度〟に目を凝らします。現在の価格がいくらか、買い値からどれだけプラスになったかは重要ではない、と言います。上昇のエネルギーを読んでいるのです。

 

「株でも不動産でも、一気に値が上がって、そのトレンドが長く続くときがある。〝上昇気流〟が起きている時期だ。今がそのときだと判断したら、売るのはしばらく我慢する。この我慢が一番難しいんだ」

 

価格が最も高くなるピークを捉えて、つまり値上がりから値下がりに転じる直前に売り抜けることは一般の投資家にはまずできない芸当です。その一方で、価格が落ちはじめて慌てて売ると、あとで再上昇して悔しい思いを味わうこともあります。その方は、もう上昇気流の勢いが衰えたと判断したときに思い切って手放しているのです。

 

「上昇角度が鈍り出しても1回目は待つ。その次にもう一度、角度が緩やかになったら売ることに決めている」とコツを教えてくれました。

 

値段が1割下がったら売るという損切りのルールと同じで、利益確定のタイミングについてもルール化しているのです。そうすれば、相場の状況に流されて判断がブレてしまうことを防げます。

 

たとえ投資額は小さくても、このような大富豪流の投資術を見習うことはできます。投資の9割は負けるものと心得ておけば、冷静に売りどきを捉えることが可能です。

 

★投資は9割負けると思えば、相場に流されない

執事だけが知っている世界の大富豪53のお金の哲学

執事だけが知っている世界の大富豪53のお金の哲学

新井 直之

幻冬舎

総資産50億円以上のVIPたちにお仕えしてきた一流執事が明かす、世界の大富豪の富を呼ぶシンプルな習慣 本書は『執事だけが知っている世界の大富豪58の習慣』の第二弾として、執事の丁寧な口調で語られる〝お金〟をテーマに…

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