本連載は、日本バトラー&コンシェルジュ株式会社の代表取締役、新井直之氏の著書、『執事だけが知っている世界の大富豪53のお金の哲学』を一部抜粋し、総資産50億円以上の大富豪に仕えた執事だけが知っている「富の築き方」をご紹介します。

信じるのは、災害や戦争が起きても「実体」が残るもの

大富豪の投資には、人それぞれに独自の視点や発想があります。なかでも私が驚いたのは、「燃えるものには投資しない」という考え方です。これは、実際に火をつけて燃やしてみるのではなく、頭のなかでその投資商品が「燃える」かどうかを想像してみるという意味です。

 

大富豪はその真意をこう説明してくれました。

 

「災害や戦争など予期しないことが起きても、実体が残るもの、価値が大きく変わらないものは信用していい、という意味だよ」

 

紙幣は大火のなかで燃え尽きてしまいます。また、紙幣の価値を保証する国家が財政破たんすれば、紙幣は紙くず同然になります。現在の価値を失うという点では、燃えてなくなるのと同じです。

 

世界の歴史を振り返れば、ある国のお金の価値がほとんどなくなってしまったケースはいくらでもあります。ですが、今の日本で実際に〝万が一〟に備える人はそう多くないでしょう。

 

大富豪は、今、お使いの通貨の価値が無になってしまう状況を常に想定しているのです。そう考えるのは、政情不安定な国に住む大富豪だけではありません。日本にお住まいの方でも、本心では「円」を信用していないのです。

 

比較的、通貨として安定している「円」に対しても疑いの目を向けるのですから、毎日のように大富豪のところに持ち込まれる投資話には格段に厳しい目を向けます。どんなにうまい話でも「燃えるか燃えないか」、つまり実体があるかないかを瞬時に見分ける目を養っているのです。

 

ですから、株や債券、保険といった一般的な投資商品も、頭のなかで「燃える」かどうかをイメージされています。

 

例えば、証券会社からある会社の株式をすすめられたときも「その会社が倒産したら、どのくらいの価値が残るのか?」と本気で考えます。また、保険商品の提案があれば、「保険会社がつぶれても、この保険契約は大丈夫なのか?」と自問自答しているのです。そうやってふるいにかけられると、ほとんどの投資商品は残りません。

土地・金・特許など、普遍的な価値がある商品に投資

大富豪から選ばれるのは、「普遍的な価値がある」と認められたものだけです。

 

その代表格が土地です。不動産投資がお好きな大富豪は、「この物件を燃やしてみたら価値は残るかな? 建物は燃えるけど、土地は残るな」と確認していました。社会の変動を受けても、それに耐え得るかを見極めているのです。

 

土地のほかには、金やプラチナも普遍的な価値があると認めます。たとえ今住んでいる国の財政が破たんしても、金やプラチナの価格が暴落することはないはずです。

 

物質としては、金やプラチナも相当な高温になれば溶けてしまうでしょう。それでも滅多なことでは消えてなくなりはしません。紛争や天災にも比較的、耐え得る投資商品だといえます。

 

また、形のないもので、そもそも燃やしようがないものにも投資なさいます。例えば特許のような権利です。私のお客さまのなかにも、常に「購入に値する特許はないか」と探しておられる方がいます。

 

一般に、資産を増やそうとすれば、ある程度のリスクは仕方がないと考えがちです。一度に大きく増やすなら「ハイリスク・ハイリターン」でなければ無理だという話も聞きます。しかし、そんな言葉にあおられるのではなく、大富豪が投資商品を選ぶときの知恵を少し借りたいものです。

 

戦争や天災に見舞われても、その投資商品はなくならないのか。

会社や国家が破たんしても、その投資商品の価値は残るのか。

 

大富豪のように「燃やして」みれば、今まで見えなかった隠れたリスクや、見落としがちなリスクに気がつくのです。

 

★価値が変わらない商品に投資する 
 

執事だけが知っている世界の大富豪53のお金の哲学

執事だけが知っている世界の大富豪53のお金の哲学

新井 直之

幻冬舎

総資産50億円以上のVIPたちにお仕えしてきた一流執事が明かす、世界の大富豪の富を呼ぶシンプルな習慣 本書は『執事だけが知っている世界の大富豪58の習慣』の第二弾として、執事の丁寧な口調で語られる〝お金〟をテーマに…

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