「イニシャルコストが安い=総額が安い」とは限らない
前回の続きです。
落とし穴の2番目は、トータルコストのお話です。
あなたは家をつくるときには、「イニシャルコスト」と「ランニングコスト」の両方があることを意識していますか? その両方を考えて、トータルでのコストを考えて決めなければ、一生苦労することになりますよ。
「イニシャルコスト」とは、初めにかかる費用のことです。
物件購入費用をはじめとして、ローン保証料や登記費用、火災保険といった諸経費、印紙税、登録免許税、消費税といった税金などがそうです。
「ランニングコスト」とは、後から毎月かかる費用のことです。
マンションの管理費や修繕積立金、駐車場代などです。維持・修繕費や光熱費なども家のつくり方によって後からかかってくる金額が変わったりします。
一般的に、「イニシャルコストを安く抑えたい」という人がほとんどだと思います。最初に出せる頭金には限りがあります。住宅ローンで借りられる金額にも上限があります。その予算のなかで「できる限り、イニシャルコストを安くしておきたい」と考えるのは普通の感覚ですよね。ところが、最初は安く抑えられても、後々の「ランニングコスト」が多くかかってきて、最終的にトータルで見ると結構な金額を払う羽目に陥っているというケースも多々あります。ここも、長い人生において影響力が大きいので、気をつけなければならない落とし穴です。
「分譲マンションのランニングコスト」で家が買える!?
同じエリアに建っているマンションと一戸建てで比較してみましょう。
土地代の負担が大きい分、当然のことながら一戸建てのほうが「イニシャルコスト」が高くなるでしょう。でも、長い年月のトータルで比べてみるとどうでしょうか?
分譲マンションの場合、共有部分(玄関、廊下、バルコニーやエレベーター立体駐車場などなど。自分の部屋以外のスペース)は、居住者全員で維持管理をすることになります。維持管理にかかる費用や修繕積立金、駐車場代などは、毎月払う「ランニングコスト」ですね。
たとえば、それらのランニングコストが月3万円かかるとすると……これがけっこうバカにならないのです。単純に計算してみても、毎月3万円で、年間36万円。30年間で1,080万円、40年間で1,440万円にもなります。1,440万円というと、家一軒買おうと思えば買えてしまうくらいのレベルになりますよね。
「イニシャルコストが安いから」という理由だけで、分譲マンションを買うのは、「ランニングコスト」まで考えると「ちょっと待って」と言いたくなります。