住宅ローンの金利交渉で発覚・・・市による「土地の差し押さえ」

今回は、住宅ローンの金利交渉の席で、自宅の土地を市に差し押さえられていることを知らされた、筆者の体験談を紹介します。※本連載では、オーガニックで豊かな暮らしの家づくり推進協議会・会長で、明工建設株式会社の代表取締役・仁藤 衛氏の著書、『知らなきゃ損! 建てる前に必ず読む本』(知道出版)の中から一部を抜粋し、家づくりに潜む「7つの落とし穴」を明らかにし、それらを回避するためのポイントを解説します。

訪れた銀行で、なぜか奥の部屋に通され・・・

前回の続きです。

 

まずはローンを私名義に変え、私の管理のもとで支払いをすればいいと、その当時はこれで問題解決と思いました。しかし、社会情勢は大きく変わり始め、バブル崩壊後の不景気の波が襲い、サラリーマンの給料も上がるどころか下がる時代に突入していきました。

 

この時期、3人の子どもたちも成長し、やはり月々の支払いが負担になり始め、預金をローンの繰り上げ返済にあてたりしました。銀行の担当者は、ローン完済の前倒し(短縮)を強く勧めてきましたが、私たちは、ローン完済年はそのままで月々の返済を減らす方法を取りました。その選択は、今思えば正しかったと思っています。思った以上に子育てにはお金がかかりました。結果的には末っ子の娘も大学に入学でき、親とすればほっとしているところではあるのですが。

 

ところが、ローンの借り換え後も問題が起きたのです。

 

中小企業金融円滑化法により、住宅ローン金利も銀行と再交渉できるようになったので、早速金利を下げる交渉をしに銀行の窓口に出向きました。すると、なぜか奥の部屋に通されて伝えられたことが、私の家の土地が市の差し押さえに合っている事実でした。そして、それが解決しないと金利を下げる交渉には応じられないとのこと。

 

住宅ローンは一日の延滞もなく払ってきた私にとっては寝耳に水です。ところが、差し押さえの原因は、土地の名義者だった父でした。職人をしていた父にも不況の影響が及び、税金、国民保健料等を延滞していたのです。相当な額になっており、延滞金利だけでも減らそうと元金だけは大至急支払いましたが、利息分については、数年かかって支払うことになる始末。なんとか差し押さえだけははずしてもらい、その後金利を0.25パーセント下げてもらい、現在は3回目の借り換えローンを支払っています。

 

差し押さえになった要因の一つは、二世帯住宅にしたこと。二世帯住宅は、親子間のプライバシーが保たれて気兼ねなく生活できるメリットがあります。その分、食卓も居間も別なのでコミュニケーションが希薄になり、お互いの生活内容(私の場合はお金)がわからないというデメリットもあります。結果的に、余分な出費(延滞金)を支払うはめになってしまいました。

 

そんなわけで、私の家の登記簿には差し押さえの履歴が残っており、何かの折には問われます。お騒がせの父もすでに他界しており、今思えば良い経験、良い勉強をさせてもらったと、ある意味感謝をしています。とはいえ、けっして楽しいことではなく、誰にも、同じような思いをして欲しくないと強く思っています。

 

セーフティネットを確立し、予測不能な未来に備えよ

なぜ、こんなお恥ずかしい話をしたかと言いますと、その当時とは金利も社会情勢も違いますが、未来の予測は誰にもできないことは同じだからです。ですから、その時々の最新情報を得て、自分で自分のセーフティネットを確立し、予測不能な未来に備えることがとても大事なのです。やはり、プロの情報量は違います。ハウジングライフ(住生活)プランナーに頼むのも、選択肢の一つと言えるでしょう。

 

先日、ある生命保険のセールスレディーと、家づくりについての話をする機会がありました。その方は、日本一高いハウスメーカーで家を建てています。

 

「部屋数が多すぎて、間仕切り変更もできず、将来の子供の成長独立を考えていなかったんです」といった失敗談の他にも、住宅ローンで苦しいというお話でした。

 

「ローンを途中で繰り上げ返済したんですが、月々の返済負担を減らさず支払年数を縮めたため、まとまったお金は無くなり、給料は上がらないなか、月々の負担がどんどん増えてきてとても大変なんです」

 

「保険を辞めたり減らしたらどうです」と冗談めいて言ったら、

 

「笑えないです」と苦笑されていました。

 

つまり、将来のことは誰にもわからないということです。将来の安心のために商品を案内している保険のセールスレディーさんですら、自分の家づくりと豊かな暮らし(お金)については、失敗したと言っているくらいですから。

オーガニックで豊かな暮らしの家づくり推進協議会 会長
明工建設株式会社 代表取締役
明工建設株式会社一級建築士事務所 管理建築士 

1963年静岡生まれ。静岡県立島田工業高等学校建築科卒業後、地元の総合建設業社を経て明工建設株式会社に入社。一貫して現場監督を続けながら住宅、マンション建設、商業施設建設、公共工事と幅広く対応し、品質管理、工程管理、原価管理のスペシャリストとし て近隣の同業他社や設計事務所からの信頼は厚く、その広汎な知識や情報の教授を願うメーカーや同業者の相談は後を絶たない。
2015年、同社代表取締役に就任。現在は、会社経営の重責をこなしながらも、お客様へのご提案や工事段取りなどには直接対応してお客様第一主義を貫いている。一方、学力優秀な2男1女を育て上げた経験から「住まいと子育て」というテーマでの相談も数多く受けている。
主な資格は一級建築士、一級建築施工管理技士、一級土木施工管理技士、ハウジングライフ(住生活)プランナー、下水道排水設備工事責任技術者、住宅断熱施工技術者、静岡県耐震診断補強相談士、静岡県地震被災建築物応急危険度判定士。

明工建設株式会社HP http://www.meiko-gr.jp/

著者紹介

連載現場歴36年のプロ直伝――家づくりに潜む7つの「落とし穴」の回避術

本連載は、2017年8月15日刊行の書籍『知らなきゃ損! 建てる前に必ず読む本』(知道出版)から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には一部対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

 

 

知らなきゃ損! 建てる前に必ず読む本

知らなきゃ損! 建てる前に必ず読む本

仁藤 衛

知道出版

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