訪れた銀行で、なぜか奥の部屋に通され・・・
前回の続きです。
まずはローンを私名義に変え、私の管理のもとで支払いをすればいいと、その当時はこれで問題解決と思いました。しかし、社会情勢は大きく変わり始め、バブル崩壊後の不景気の波が襲い、サラリーマンの給料も上がるどころか下がる時代に突入していきました。
この時期、3人の子どもたちも成長し、やはり月々の支払いが負担になり始め、預金をローンの繰り上げ返済にあてたりしました。銀行の担当者は、ローン完済の前倒し(短縮)を強く勧めてきましたが、私たちは、ローン完済年はそのままで月々の返済を減らす方法を取りました。その選択は、今思えば正しかったと思っています。思った以上に子育てにはお金がかかりました。結果的には末っ子の娘も大学に入学でき、親とすればほっとしているところではあるのですが。
ところが、ローンの借り換え後も問題が起きたのです。
中小企業金融円滑化法により、住宅ローン金利も銀行と再交渉できるようになったので、早速金利を下げる交渉をしに銀行の窓口に出向きました。すると、なぜか奥の部屋に通されて伝えられたことが、私の家の土地が市の差し押さえに合っている事実でした。そして、それが解決しないと金利を下げる交渉には応じられないとのこと。
住宅ローンは一日の延滞もなく払ってきた私にとっては寝耳に水です。ところが、差し押さえの原因は、土地の名義者だった父でした。職人をしていた父にも不況の影響が及び、税金、国民保健料等を延滞していたのです。相当な額になっており、延滞金利だけでも減らそうと元金だけは大至急支払いましたが、利息分については、数年かかって支払うことになる始末。なんとか差し押さえだけははずしてもらい、その後金利を0.25パーセント下げてもらい、現在は3回目の借り換えローンを支払っています。
差し押さえになった要因の一つは、二世帯住宅にしたこと。二世帯住宅は、親子間のプライバシーが保たれて気兼ねなく生活できるメリットがあります。その分、食卓も居間も別なのでコミュニケーションが希薄になり、お互いの生活内容(私の場合はお金)がわからないというデメリットもあります。結果的に、余分な出費(延滞金)を支払うはめになってしまいました。
そんなわけで、私の家の登記簿には差し押さえの履歴が残っており、何かの折には問われます。お騒がせの父もすでに他界しており、今思えば良い経験、良い勉強をさせてもらったと、ある意味感謝をしています。とはいえ、けっして楽しいことではなく、誰にも、同じような思いをして欲しくないと強く思っています。
セーフティネットを確立し、予測不能な未来に備えよ
なぜ、こんなお恥ずかしい話をしたかと言いますと、その当時とは金利も社会情勢も違いますが、未来の予測は誰にもできないことは同じだからです。ですから、その時々の最新情報を得て、自分で自分のセーフティネットを確立し、予測不能な未来に備えることがとても大事なのです。やはり、プロの情報量は違います。ハウジングライフ(住生活)プランナーに頼むのも、選択肢の一つと言えるでしょう。
先日、ある生命保険のセールスレディーと、家づくりについての話をする機会がありました。その方は、日本一高いハウスメーカーで家を建てています。
「部屋数が多すぎて、間仕切り変更もできず、将来の子供の成長独立を考えていなかったんです」といった失敗談の他にも、住宅ローンで苦しいというお話でした。
「ローンを途中で繰り上げ返済したんですが、月々の返済負担を減らさず支払年数を縮めたため、まとまったお金は無くなり、給料は上がらないなか、月々の負担がどんどん増えてきてとても大変なんです」
「保険を辞めたり減らしたらどうです」と冗談めいて言ったら、
「笑えないです」と苦笑されていました。
つまり、将来のことは誰にもわからないということです。将来の安心のために商品を案内している保険のセールスレディーさんですら、自分の家づくりと豊かな暮らし(お金)については、失敗したと言っているくらいですから。