今回は、マイホームを建てる前にすべき対策について解説します。※本連載では、オーガニックで豊かな暮らしの家づくり推進協議会・会長で、明工建設株式会社の代表取締役・仁藤 衛氏の著書、『知らなきゃ損! 建てる前に必ず読む本』(知道出版)の中から一部を抜粋し、家づくりに潜む「7つの落とし穴」を明らかにし、それらを回避するためのポイントを解説します。

おすすめは「家賃返済特約付きフラット35」

万が一、住宅ローンが払えなくなってしまったら、通常は、家を売らざるを得なくなります。それでもローンが残ってしまった場合、家は失っているのに、残ったローンは払い続けることになり、さらには自分の住む場所も別に確保しなければならない。それこそ、二重苦三重苦の状態に陥ってしまいます。

 

このように、住宅ローンに苦しめられ、家を手放すような悲惨なことにならないようにするために、打っておくべき対策はいくつかあります。

 

じつは、7番目の落とし穴は、そのような対策を講じたくても講じられない家を、建ててしまうことです。

 

まず、オーソドックスな対策方法としては、繰上げ返済を少額でも受け付けてくれるところ、しかも手数料を取らない住宅ローンを組んでおくことです。余力のあるときにちょこちょこ返しておくだけでも、トータルでは随分違ってきます。ただし、住宅ローンは金利が優遇されているので、何か他にお金を借りなければならいことになっても、そちらを先に返済し、住宅ローンのほうを最後まで残しておくべきではありますが。

 

住宅を購入する際に入る団体信用生命保険は、みなさんご存知だと思いますが、それ以外にも知られていない制度があるのです。

 

今のような低金利の時代には、「フラット35」などの、35年間金利が固定のローンを組むほうが安心ですが、私がオススメするのは、そのなかでも「家賃返済特約付きフラット35」です。万が一ローンを返済できなくなっても、住宅を住宅借り上げ機関に預け、賃貸にし、その賃料を返済に充てることができる特約です。

 

また、国の出先機関である移住・住みかえ支援機構(JTI)が行なっている「マイホーム借り上げ制度」というものもあります。

 

これは、空き家対策として生まれた制度ですが、マイホームを終身に渡って借り上げて、賃料収入を保証してくれるものです。50歳以上であることと、住宅が一定以上の耐震性が保証されていることが条件になりますが、この制度を利用すれば、自宅を売却しなくても住み替えや老後の資金として活用することができるわけです。

 

では、50歳未満の人はどうすればいいかというと、このJTIが認めた耐久・耐震性基準を満たしていれば、つまり、しっかり長持ちする認定住宅を建てておけば、50歳未満の人でも、借り上げ制度を利用できるという認定制度があります。

 

このような対策を立てておくことで、住宅を建てた後の不安、ローン破綻だけではなく、たとえば、いつ転勤を命じられるかわからないといったことも含めて、「万が一のときにどうしよう」という不安がなくなるのです。

 

それまで住宅ローンを支払い続けて手に入れた住宅が、今度は賃料を稼いでくれる存在になる。まさに、住宅ローンを負債ではなく、資産にする方法です。つまり、家が年金代わりにもなるというわけです。もちろん、そのためには、通常の家より多少割高になったとしても、しっかり耐久性、耐震性を持った家を建てる必要があります。

 

これを知っているのと知らないのとでは、人生が変わってくるような話です。逆に、このような知識を得て、しっかりとした家さえ建てておけば、悲惨な状態になることを防げるのです。残念ながら、営業マンでも意外とご存知ない方も多いようです。

正しく対策を打てば、家は想像以上に頼りになる存在に

〝下流老人〟という言葉が世間を賑わして何年か経ちますが、「家を建てるなんてそんなお金ないですよ」という人こそ、優良な住宅会社を見つけて、無理のない範囲で家を建て、制度を上手に利用して、家を資産にすることを真剣に考えるべきだと思います。家が、あなたを〝下流老人〟になるリスクから救ってくれるかもしれません。

 

何も知らずに営業マンの言うがままにローンを組んでしまうと、大変なことになる可能性もありますが、情報や知識を得て、正しく対策を打っておけば、家は、想像以上に頼りになる存在となるのです。家が凶器となってあなたを襲うか、セーフティネットとなってあなたを守ってくれるか、これは大きな違いです。

 

ここでひとつお伝えすると、「マイホーム借り上げ制度」などを利用するには、ハウジングライフ(住生活)プランナーという資格を持っている人に、仲介をしてもらう必要があります。

 

このような住宅に関するさまざまな知識もさることながら、必要な資格を獲得し、すぐにお客さまの役に立つようにと準備をしているかどうか、これも今後、住宅会社を見極める一つの目安になるかもしれませんね。

 

さらに言えば、あなたがお願いしようと思っている住宅会社は、住宅ローンについて、たとえば元利均等(最初は利息のほうが比率が多い)と元金均等(元金に対しての利息を均等に払う。最初は支払が多い。年数が建つほど、利息の割合が少なくなって支払額も減る)、そのどちらが今の自分には良いかといったことも、真摯に相談に乗ってくれる会社でしょうか?

 

そのような視点で住宅会社を選ぶということも大切なことだと思います。

 

住宅ローンは、あなたの人生を左右するとても大切なことなので、長くお話をしてきました。私は、ハウジングライフ(住生活)プランナーの資格ももちろん取っています。少しでも不安なことがあれば、気軽に相談してください。大事なお金のことです。とことん、納得がいくまで相談に乗りますよ。

本連載は、2017年8月15日刊行の書籍『知らなきゃ損! 建てる前に必ず読む本』(知道出版)から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には一部対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

知らなきゃ損! 建てる前に必ず読む本

知らなきゃ損! 建てる前に必ず読む本

仁藤 衛

知道出版

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