成熟した市場では、現在の物件価格がすでに「割高」
日本より海外の不動産といっても、当たり前ですがどこの国でも手当たり次第に買えばいいというわけではありません。
海外の国を分類する際に多くの人が思い浮かべるのが、先進国か新興国か、ではないでしょうか。主な先進国は、日本を含めたアメリカ、ドイツ、イギリス、フランス、カナダ、イタリアのG7でしょう。これらの国のほとんどは、政治・経済が安定しており、法整備もしっかりしているので安心して投資できそうです。
さらに、アメリカをはじめいくつかの国は今後数十年間、日本よりも経済成長率が高くなると予測されています。
いずれにしても先進国は、ある程度成熟した市場なのでキャピタルゲインを狙う意味ではあまりうまみはありません。成熟した市場は、現時点での物件価格がすでに割高となっています。
さらに、ほとんどの国ではローン金利が日本よりも高い上に、家賃相場も日本とあまり変わらないのです。したがって利回りは日本よりも低くなっているのが現状です。
有名リゾート地も手頃な物件は品薄状態
ただし、先進国の有名な国際都市、ニューヨークやロンドンといった場所の物件であれば、今後も確実に旺盛な賃貸需要があり、家賃も高止まりしますから、じっくりと長期的にインカムゲインを得る、という意味では間違いないでしょう。
狙うとすれば日本よりも若干高い経済成長率を根拠とした場所ですが、まずもって不動産を手に入れるのが困難です。いい物件がなかなか出回ることはなく、売りに出ても誰もが買いたがりますから、すぐになくなってしまうのです。それならば情報収集がしやすい日本の物件を狙うべきです。
これらのことから、不動産の個人投資家が、先進国の不動産を積極的に狙うメリットは少ないといえます。
また、日本人にとって先進国と並んで身近に感じるのが、海外のリゾート地です。実際に私たちのところへ相談に来るドクターたちのなかには、趣味と実益を兼ねてハワイやバリ島などの物件が欲しいといってくる人がいます。
しかし、残念ながら状況は先進国と同じ。いや、それ以上に厳しいかもしれません。どこも投資対象として非常に人気なので、割高な上に1000万円程度で買える手頃な物件はなかなか出てきません。賃貸に出して入居者が期待できる、つまり投資向きの物件は、最低でも数千万円します。
なかには競売などで格安の物件を手に入れるチャンスもあります。しかし、これに手を出すのはプロばかりです。素人が手を出すのは得策ではありません。そこまでのリスクを冒すのなら、手堅い日本の物件を買うことをお勧めします。