「相続税の税務調査」に 選ばれる人 選ばれない人
>>1月16日(木)開催・WEBセミナー
いつもどおりの「入国審査」のはずが…
7時間のフライトを終え、着陸する機体。前方左側に見えるハッチが開き、降機を促すアナウンスが流れる。機外に出て外気を吸い込み、自分の足が地を踏んでいることを実感する。このときの安堵感というのは、他に比べようがない。
その日、A氏はホノルル空港の入国審査待ちの列にいた。
ここを抜ければもうそこは常夏の地、ハワイだ。入国審査には既にかなりの列ができており、いささかげんなりするが、自分の番が徐々に近づいてくる。ああ、もう少しだ。
5年前に買ったハワイの別荘。購入してからは、まとまった休みが取れるたびに、そこで羽を伸ばしてきた。航空券を予約するのだって、新幹線の切符を買うのと大した違いはない。ハワイの別荘、そこは海外と言えども、もはや私にとっては軽井沢の別荘に行くような気分だった。いつもどおりの入国審査。緊張することなど何もない。
「Hello.」
笑顔で挨拶をするA氏。入国審査官も微笑み返す。入国審査官とA氏のやり取りが続く。
・・・ん? 今回はずいぶんたくさん質問してくるな。アメリカの政権交代の影響だろうか? だが大丈夫、後ろめたいことなど何一つないのだから・・・。
「Please come with us.」
「えっ?」
入国審査官が発した思わぬ英語に、すぐに脳が対応しない。もしかして隣のレーンの人に対して言ったのか?
「Pardon me?」
「Please come with us.」
先ほどよりはっきりと、力を込めて発せられた入国審査官の言葉は、まさしくA氏に対してかけられたものだった。頭をフル回転させて今しがた自分が行った入国審査官とのやり取りを思い返してみる。まず渡米の目的を聞かれ、バカンスと答えた。滞在先を聞かれたので、自分が所有している別荘の住所を答えた。あとは、ハワイが大好きだとか、少し上機嫌にリップサービスも加えて和気あいあいとやり取りをしていたつもりだった。一体全体何が悪かったのか、皆目見当も付かない。
その後の出来事は、まるで悪夢を見ているかのような現実感の乏しいものだった。別室に連れて行かれた後、複数の入国審査官から様々な質問を受けた。これまでの渡米歴とその理由、別荘の所有者が誰であるか、日本での仕事の内容、アメリカで働いていたことはあるか等々・・・
「You are not eligible to enter the United States(あなたにはアメリカに入国する資格がありません)」
最後に入国審査官から静かに発せられた言葉に、A氏は呆然となった。そんなA氏の様子をよそに、淡々と書類を作成していく入国審査官。もう頭は真っ白だ。入国審査官から何やらQとAがたくさん書かれた紙を見せられ、サインを迫られる。自分が何にサインをしているのかもよく分からないまま、書類にサインをするA氏。その先のことは良く覚えていない。気が付けば日本行きのフライトに乗せられていた。
これが入国拒否? どうして私が? もう一生アメリカに入国することはできないのだろうか? ハワイに残してきた別荘はどうなるんだ・・・?
入国拒否に至るまでのプロセスとは?
今回は、実際に入国拒否に遭ってしまうまでのプロセスについて、具体的に説明したいと思います。
ESTA(ビザ免除プログラム)認証による渡米、そして入国拒否を受けて日本に帰国させられるまでのプロセスは以下のとおりです。
①インターネットからESTAの申請を行い、認証を得る
②飛行機に搭乗する
③現地の空港に到着する
④入国審査官による審査を受ける
ここまでは、通常の入国と同様になりますが、以下⑤から変わってきます。
⑤入国審査官から中々許可をもらえず、多くの質問を受ける
⑥追加確認が必要という理由で別室に連れて行かれる
⑦複数の入国審査官から別室で様々な質問を受ける(荷物、パソコン、携帯の確認なども受ける場合もあります)
ここで誤解が解けて入国許可が下りることもありますが、うまくいかない場合は、以下⑧に発展します。
⑧入国拒否の宣告を受ける
⑨署名にサインし、送還手続きに移行
⑩帰国のための飛行機に搭乗させられる
A氏には不法滞在歴も不法就労歴も、犯罪歴もありませんでした。それにもかかわらず、突きつけられる入国拒否という非情な現実。これが入国拒否の実際です。
次回は、どのような方が入国拒否に遭ってしまうのか、そして、入国拒否を回避するためにはどのような点に注意すべきかについて説明します。
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