事業投資の魅力に気づき始めた不動産投資家
不動産投資で成功している人が、事業投資分野へ進出する事例が増えてきています。ゼロから事業を立ち上げる、フランチャイズに加盟する、M&Aの手法を使うなど方法は様々です。不動産投資家の属性も、専業以外に、副業として取り組むビジネスパーソンや主婦、金融系投資家など、実にバラエティに富んでいます。
筆者が最初に行ったスモールM&Aセミナーは「不動産大家の会」からの依頼によるものでした。不動産の投資利回りが低下し、購入を手控えていたために事業投資に興味を持たれたようです。地味なテーマにも関わらず、熱心に聞いていただき、スモールM&Aによる事業投資を実践されている方々も既に出てきています。
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直近の日銀統計によると、不動産事業向け融資残高は過去最高となり86兆円に達したようです。ピンときませんが、2017年度の国家予算(一般会計予算)が約96兆円です。国家予算並みといえば、その額の大きさが分かるでしょうか。
昨年10月に金融庁が不動産融資に対しネガティブなコメントを出したことを受けて、一部の金融機関が資産基準や担保評価等の融資基準を保守的に補正し始めました。金融庁の公式コメントなどから、金融機関は担保や保証に依存せず、事業や成長性を評価して融資すべきとの意図が伝わってきます。そのあたりを敏感に感じ取った不動産投資家が事業投資に興味を示しているのかもしれません。
不動産投資と事業投資における「3つの違い」
不動産投資と事業投資には、大きく3つの違いがあります。
1つめは「リスク・リターン」の違いです。事業投資の場合、失敗すると何も資産が残らないケースが多いですが、不動産投資の場合には市場で物件を売却できるという優位性があります。一方で、投資リターンに関しては、事業投資の場合、最低でも不動産利回りの数倍を狙うのが普通です。
2つめは「資金調達面」です。不動産投資は担保不動産が融資判断のベースになるので当然ながら借入のハードルは下がります。一方で、事業投資に関しては基本無担保融資となるので、いきなり数億円の借入をするのはハードルが高いです。筆者が、まずは「スモール」な事業から買うことを勧める理由はここにあります。
3つめは「人材の活用」です。多くの事業投資は「人材の活用」が成功の鍵となります。不動産投資家の中には、人材の採用・管理が面倒という方が多いのも事実です。中には、コインランドリーや業務委託型の事業もありますが事業投資市場の全体から見ればマイノリティーです。
不動産価格が上がり利回りが低下しつつあるとはいえ、上記の違いだけ見れば、不動産投資に利があるような気がします。ではなぜ、事業に興味を持ち、不動産事業からシフトする人が増えてきているのでしょうか。その理由は、現代人の人生における仕事への比重の変化にあるのではないでしょうか。収入と幸福度に関する調査は、国内外で多く実施されています。
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行動経済学の第一人者である米国のダニエル・カーネマン教授は「収入と幸福度は、年収7.5万ドル(800万円)までは比例する」という研究結果を公表しています。国内では内閣府が「年収1,000万円までは比例、それ以上は低下する」といった調査報告をしています。誰もが羨む富豪が、決して精神的満足を得ていないというのは洋の東西を問わず言われることです。
不動産投資家の中には、ここ数年で富裕層の仲間入りをした人がいるはずです。専業大家さんとなり時間を持て余している人、サラリーマン大家さんとして本業の仕事に不満を持っている人などは、興味があり集中できる事業を持ちたい欲望が沸き上がるのかもしれません。結局のところ、人間とは「慣れて飽きる生き物」であり、人生における「仕事」の位置づけが大きいことを表しているかもしれません。
スモールM&A市場は「儲かりそう」と思う人もいるでしょう。決してそれを否定はしませんが、そう思い通りにいかないことが多いのも現実です。とはいえ、事業投資は投資家・経営者を成長させてくれるのは間違いありません。仮に失敗したとしてもスモールM&Aならば十分再起が可能です。スモールM&A投資を始めて、不動産投資家時代よりも生き生きと人間らしく毎日を過ごしている方々が筆者の周りでも増えてきているのは嬉しい限りです。