日米で大きく異なる「建物」の価値
消費税、所得税、贈与税、相続税・・・近年の日本では増税が相次ぎ、もはやブームの様相を呈しています。昨年までは、太陽光パネル投資などによる節税対策が流行っていましたが、国の助成金や控除もピークを越え、すでに過去のものとなってしまいました。
節税対策を考えている方々には、課税所得の高いサラリーマンの方や、事業の税金に悩む会社経営者の方など、その立場も状況も様々ですが、そういった方々に適した、収入アップも狙える一石二鳥のアメリカ不動産投資を活用した節税対策が存在します。
不動産投資と節税対策は、一見直結しないように思われますが、実はアメリカ不動産投資には、「高いインカムゲイン」「米ドル資産の保有」だけでなく、今回ご紹介する「減価償却を用いた節税」という3つのメリットがあります。
「減価償却を用いた節税」とは、一言でいうと「アメリカ不動産の減価償却費を日本の課税所得にぶつける」というものです。税法では、不動産(建物)は、保有したときから次第に価値が下がっていくと考えます。「減価償却」とは、その「下がった価値分」を一定の期間内で費用として計上する(償却する)ことを指します。その「費用」を日本の課税所得から差し引くことで、課税所得を下げ、納税額を減らします。
注目すべき点は、不動産(土地・建物)の中でも、価値が落ちるのは「建物だけ」であり、土地は償却されないと制定されていることです。償却対象は建物だけなのです。
ここで、日本とアメリカの「償却対象」を比較してみましょう。
日本の場合、狭い国土に多くの人が住んでいるので「土地に大きな価値がある」とされ、建物にはそれほど価値がないとされています。一方アメリカでは、日本の25倍もの土地に日本のたった約2.5倍の人しか住んでいないため、住人の居ない広大な土地が残されています。そのため、土地にはそれ程の価値はなく、「建物」にこそ大きな価値があるとされています。
日本では、購入代金のおおよそ70%-80%が土地の価格、20%-30%が建物の価格に値します。一方アメリカでは、70%-80%が建物の価格、20%-30%が土地の価格と、評価が真逆に近いのです。
償却対象である建物の比率が低い日本では、減価償却費は少ししかとれないので、費用計上しても節税効果はあまり出ません。しかし、アメリカの場合は建物比率が高いので、節税に大きな効果があるということです。
4年間での償却が可能な「築22年以上の木造物件」
実際に、日本とアメリカの例をあげてみます。
価格が1,000万円で、償却対象が20%(日本)、80%(アメリカ)となる不動産を購入した場合です。
日本:1,000万円 × 20%(償却対象)=200万円
アメリカ:1,000万円 × 80%(償却対象)=800万円
同価格の不動産でも、アメリカの方が償却対象である建物比率が80%と非常に高いので、その分大きく費用計上することが可能です。この費用を日本の課税所得から差し引くことができ、納税額を大幅に下げることができます。
次に、減価償却を行う期間についてですが、日本の税法上、築22年以上の木造物件の場合、償却対象である建物価格は4年間で償却できます。とても短い期間で償却できることから(理由の詳細はここでは割愛します)加速度償却と呼ばれます。4年間で償却対象を償却するので、上記の例では、日本では年間50万円、アメリカでは年間200万円を、日本の課税所得から差し引くことができます。
日本:1,000万円 × 20%(償却対象)÷ 4年間(償却期間)=50万円
アメリカ:1,000万円 × 80%(償却対象)÷ 4年間(償却期間)=200万円
つまり、建物割合が大きいアメリカの物件なら、4年間毎年200万円も償却できるので、課税所得が下がり、納税額を大幅に下げる(節税できる)ことが可能なのです。
この話は次回に続きます。