リフォームをして「住み継ぐ」ことができれば一番
住まなくなった持ち家をどうするか考えたとき、その選択肢は「住む」「売る」「貸す」「そのまま維持する」の主に4つになるでしょう。それぞれにメリットとデメリットがあるので、自分にとってどれがベストの手段なのかをよく考える必要があります。
まず、「住む」場合ですが、子どもや孫が住むのが一番いい方法だと思います。両親や祖父母が建てた家、自分が生まれ育った家には思い出がいっぱい詰まっています。単に古いから費用が掛かるからだけでは壊せないかもしれません。
しかし、大きな問題もあります。一つは、「近くにいない」こと。県外に住んでいる子どもさんも多いでしょう。「実家が空いているから」という理由で今の仕事を辞めて転職するとか、子どもさんを転校させるには抵抗があるかもしれません。
また、「リフォームに費用がかかる」という問題もあります。20~30年前に建てた家は水回りも老朽化しており多くの費用はかかります。しかし、最近「実家リフォーム」「二世帯リフォーム」が増えているのも事実です。実家に住む、相続した家に住むことを考えている人には費用をかけてでもリフォームして「住み継ぐ」ことはとてもいい方法でしょう。
売却できれば税金や維持費に悩まなくて済む
「売る」場合ですが、メリットは固定資産税や維持費がかからず、売却費用を次の家の購入に充てられるほか、一番は精神的に悩まなくて済むことが挙げられます。
デメリットは、売却金額よりも住宅ローンの残債が残っている場合の支払いのほか、仲介手数料や登記費用などまとまった費用がかかることです。家が古いため売れにくい場合は、解体して更地にする費用を自分で出さなければなりません。なかにはリフォームして売る人もいますが、そのケースはそれほど多くはないです。このため、「家を売りたいけれど残債が精算できない」、「家を解体して土地を売りたいけれど解体費用が捻出できない」というケースも多く見られます。
次に、「貸す」場合ですが、メリットは家賃収入が入ってくること。そして、将来その家に戻って住むことが可能ということです。デメリットは、空室期間があると家賃収入が得られないこと。家賃滞納などの入居者トラブルが発生する可能性があること。建物の劣化や設備の故障の際には修繕費、固定資産税や維持管理費などもかかってきます。また、ほとんどの場合でリフォームが必要となり、その際には数百万円の費用がかかることや家賃がずっと定額であるという保証がないことも大きなデメリットです。
「そのまま維持する」のはデメリットが大
最後に、「そのまま維持する」場合ですが、メリットはいつでもすぐに戻れるという安心感でしょうか。しかし、このケースはデメリットの方が大きいと言わざるを得ません。一番は管理の問題です。月に1〜2回は窓を開けたり通水をする必要があり、自分が行けない場合は親族や管理会社など誰かに管理をしてもらうことになります。庭木が生い茂れば刈らなくてはいけませんし、台風がくれば屋根瓦の落下や雨漏りの心配をしなければならないなど、精神的な負担も大きいでしょう。
管理会社に管理を委託する場合、広島の参考金額としては月1回訪問で年約10万円。清掃、庭木の剪定、不用品処分などのオプションが入ってくると年約20万円にもなります。維持管理費や固定資産税がかかることも大きなデメリットになり、あまりお勧めはできません。従って、デメリットよりもメリットが上回るのは「住む」か「売る」という選択肢であると私は考えています。
しかし、空き家を実際に活用できるかどうかは、その物件の立地条件、状態、持ち主の状況によって変わります。自分にとってどの方法が適しているのかをよく考える必要があります。