今回は、日本における中古住宅の「流通」の実態について見ていきます。※本連載は、株式会社マエダハウジング、株式会社マエダハウジング不動産の代表取締役・前田政登己氏の著書、『「困った空き家」を「生きた資産」に変える20の方法』(株式会社ザメディアジョン)より一部を抜粋し、空き家の具体的な活用法を紹介します。

25年も経過すれば、家の値段は「ほぼゼロ」に

「家の寿命は20年」。日経ビジネス2016年2月発行号のタイトルです。何とも衝撃的なタイトルですが、「住宅は資産」と思っている人たちが多い中、実は「住宅は負債」になりかねないという話です。

 

現実的に20年で家の価値がゼロになるというのは極端な事例かもしれませんが、25年、30年で家の価値はほぼゼロになっています。リフォームやメンテナンスにかけた分が価格に反映されればいいのですが、実際にはそうはならないことが多い。そこに家が資産と呼べない理由があります。

根付いている「家がない方が価値がある」という考え方

なぜ、このようになったのかは、「何百万もかかるなら建て替えたほうが早い」とか、土地神話はまだ少し残っていて、建物より土地に価値を感じる方が多くいるからです。

 

昔は「土地は上がり続ける」といわれましたが、果たして今はどうでしょうか。そう思っている人は少ないでしょう。国交省が2017年1月1日時点の公示地価を発表した時、9年ぶりに全国の住宅地がわずかながら上昇しました。広島県においては実に26年ぶりです。ただし、立地の良い駅近は上がっているものの、不便な場所はさらに下がるという二極化が拡大しています。特に山間部や島しょ部は下がり幅も大きくなっています。

 

人が集まりやすい場所は上がり、人が減っている場所は下がっています。どうやって人を集めるかが大きな鍵となってくるでしょう。

 

住宅の寿命は耐久性などの物理的なことだけではなく、価値に大きく左右されます。いくら性能のいい家を造っても市場でその価値が認められなければ住宅の寿命は長くなりません。結果、家を持った人の資産が減っていってしまいます。

 

そのため、買主が欲しい土地にこうした古い家が建っていると、「家を解体して処分する費用分、売値から差し引いてもらえませんか」と言われることもあります。これは、家がない方が価値があるという不動産的な考え方が根付いている証であり、日本の中古住宅の流通の実態を示しているともいえます。しかし、私たちはこうした実態を何とか変えていきたいです。

「困った空き家」を「生きた資産」に変える20の方法

「困った空き家」を「生きた資産」に変える20の方法

前田 政登己

ザメディアジョン

空き家の相続、管理、売却がわからず費用や時間がかかるばかりの「困った空き家」。 人口減少社会の「生きた資産」として再活用する20の方法を紹介します。

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