今回は、「リバースモーゲージ型住宅ローン」について見ていきます。※本連載は、株式会社マエダハウジング、株式会社マエダハウジング不動産の代表取締役・前田政登己氏の著書、『「困った空き家」を「生きた資産」に変える20の方法』(株式会社ザメディアジョン)より一部を抜粋し、空き家の具体的な活用法を紹介します。

所有する住宅資産を活用して融資を受ける仕組み

親の家を相続したけれど、誰も住まないしどうしよう。住み替えて空き家になった家をどうしよう。でも、人に貸すために老後の蓄えから数百万円のリフォーム費用をだすのは大変だ!

 

こうした場合、満60歳以上の方であれば、住宅金融支援機構が民間金融機関を支援して提供している「リバースモーゲージ型住宅ローン」をご利用いただくことができます。「リバースモーゲージ」というと、何か難しいローンと思われるかもしれませんが、所有する住宅資産を活用して融資を受ける仕組みです。一般的な住宅ローンと違って、ご融資期間は終身で毎月のお支払いは利息のみになりますので、家計に余裕をお持ちいただけます。

自宅を子どもに残さず、親の人生のために使うことも

最近の利用事例をご紹介します。年齢78歳、年金で約100万円の収入のある方が、老朽化したご自宅のリフォームのために約400万円のご融資を利用されました。金利年3%の場合、毎月の支払額は、利息のみの約1万円となります。老後の蓄えを取り崩すことなく、リフォームしたご自宅で快適な暮らしができるとお喜びいただきました。

 

この事例は、ご自宅のリフォームというケースですが、もちろん、空き家を第三者に賃貸するためのリフォーム資金としてご利用いただくこともできます。また、「リバースモーゲージ型住宅ローン」の元金は、お借入れされた方が亡くなった際に、担保にしたご自宅の売却代金、預貯金などにより、相続人の方から一括でご返済いただくことになります。最近は、お子さまもご自分の生活拠点がありますので、親の家は相続しなくてもいい、相続しても管理ができないというケースも増えていますので、親もご自宅を子どもに残さずに、自分の生活を豊かにするために活用したいと考える方も増えているようです。

 

空き家をどうにかしたいけれど、リフォームするために老後の蓄えを使いたくない場合、その解決策のひとつとして「リバースモーゲージ型住宅ローン」を考えてみてはいかがでしょうか。

 

最後にもうひとつ耳よりな情報です。昭和56年以前の旧耐震基準で建てられた住宅などで、耐震改修工事を含む住宅のリフォームをする場合には、住宅金融支援機構の「リフォーム融資(高齢者向け返済特例制度)」もご利用いただけます。

 

耐震リフォームは、国の重要な政策のひとつとして低金利でご支援しています。2017年3月現在の金利は年0.91%。融資額1,000万円の場合でも毎月のお支払いは、利息のみで約8千円。元金は「リバースモーゲージ型住宅ローン」と同様に死亡時の一括返済となります。こちらも併せてご活用ください。

 

寄稿:住宅金融支援機構まちづくり業務部長 城野敏江氏

「困った空き家」を「生きた資産」に変える20の方法

「困った空き家」を「生きた資産」に変える20の方法

前田 政登己

ザメディアジョン

空き家の相続、管理、売却がわからず費用や時間がかかるばかりの「困った空き家」。 人口減少社会の「生きた資産」として再活用する20の方法を紹介します。

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