今回は、相続発生した際、相続人がまず行うべきことを解説します。※本連載は、公認会計士・税理士で、経営塾「未来ネット」を主催する、税理士法人みらい・辻中修氏の著書『 よくわかる! 相続への対応 改訂増補版 』(三恵社)の中から一部を抜粋し、相続に関する基礎知識から実際の相続対策、国際税務の概要までやさしく解説していきます。

まずは現状確認を行い、書類作成や名義変更手続きへ

イ、遺言書の有無を確認

被相続人が死亡した場合、遺言書があるかどうかを確認します。遺産分割は遺言に従って行われます。法的に有効な遺言書がない場合、相続人間の協議により遺産分割が行われます。

 

遺言書(公正証書遺言を除く)の保管者や遺言書を発見した相続人は、封印がある場合には開封せず、遅滞なく家庭裁判所に届け、検認を受ける必要があります。

 

なお、遺言書を探す方法については、書籍『よくわかる! 相続への対応 改訂増補版』第三章の2の(2)の①を参照して下さい。

 

ロ、相続人を調べて確定

遺産は法定相続人や受遺者(遺言により財産を遺贈される者)間で分割されますので、相続又は遺贈により被相続人の遺産を取得する人を特定することが必要になります。

 

なお、相続人を調べる方法については、書籍『よくわかる! 相続への対応 改訂増補版』第二章の2の(1)を参照して下さい。

 

ハ、借金や生前贈与を含め、どのような財産があるかを把握

相続の放棄や限定承認をする場合、相続人等で遺産分割協議をする場合、相続税の申告書を作成し納付税額を算出する場合等のため、借金や生前贈与を含め、どのような財産(資産や債務)があるか把握する必要があります。

 

ニ、被相続人のその年分の収入や経費を調べ、必要書類を用意

準確定申告のため、被相続人のその年分の収入や経費を調べ、必要書類を用意する必要があります。この手続きは遺産である資産や債務を推定し、資産や債務を実際に探すためにも有用な手続きです。

 

ホ、遺産分割協議、遺産分割協議書の作成、相続税の申告書作成

相続税の申告と納税には期限がありますので、その期限を考慮して、相続人間で協議し、遺産分割等を進める必要があります。

 

まず、遺産分割協議を行い、相続人及び受遺者がどの財産を取得するかを決定します。この遺産分割協議に基づいて、遺産分割協議書を作成します。遺産分割協議書は財産の名義変更、相続税の申告等に必要な書類ですので、慎重に作成し、相続人及び受遺者がこれに署名し、実印を押印します。

 

相続税の申告書を作成するには多くの時間が必要です。このため、遺産分割協議と並行し、相続税申告書の作成を開始し、法定の提出期限までに所轄税務署長に提出しなければなりません。

 

ヘ、遺産分割後の預金・有価証券の名義変更、不動産の登記名義の変更

相続人等で遺産分割が完了した場合、それに基づき、各相続人等は各自が取得した財産の名義を変更し、取得した財産を利用できるようにします。

 

名義変更については、書籍『よくわかる! 相続への対応 改訂増補版』第二章の1の(2)を参照して下さい。

親族や故人の友人への連絡も忘れずに

以上の他、通常、相続人は次のようなことをします。

 

イ、親族、友人、お寺その他関係者への死亡の連絡

親族、友人、お寺その他関係者に対し、通夜や葬儀へ参列していただくための連絡、また年始の挨拶(年賀状)に代え、喪中のお知らせをします。

 

ロ、通夜・葬儀・法要等

死亡した場合、通常、相続人は葬儀社・葬儀場の手配、通夜や葬儀の日時決定、通知と実行、初七日、四十九日、一周忌の法要等を行います。

 

ハ、祭祀その他

仏壇や墓石等がない場合、通常、相続人はこれらを準備します。

本連載は、2016年12月9日刊行の書籍『 よくわかる! 相続への対応 改訂増補版』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

よくわかる! 相続への対応 改訂増補版

よくわかる! 相続への対応 改訂増補版

辻中 修

三恵社

相続に必要な知識、相続の手続き、相続財産の名義変更、遺言書や遺留分、寄与分や特別受益、遺産分割、財産の評価、非課税財産、延納・物納や納税猶予、海外の相続税等。申告・納税と相続対策:相続税の申告書を提出しなければ…

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