太陽光発電の買取価格の引き下げが続くなか、小形風力発電投資が大きな注目を集めています。実際のところ、小形風力発電投資は「ポスト太陽光」になり得るのでしょうか? 第2回目となる今回は、そのリスクも含めて、風力発電投資の案件選びのポイントをご紹介します。

物理的・経済的リスクが目立つ案件が多い!?

小形風力発電がいま盛り上がりを見せていることは、業界の内側から見ていても間違いないと感じる。それは、多くの太陽光発電投資によって利益を得た投資家と、その案件を提供してきた販売業者が再び中心となって市場を前進させているからだ。

 

日本のエネルギー事情を考えれば、夏場の発電量が著しく少なく、冬場に多く発電するという特徴を持った風力発電は、太陽光発電が普及したいま、電力の需要と供給のバランサーとしてとても重要な電力源である。特に小形風車は、大形風車ほど設置難易度も高くなく、環境負荷も軽いため広い範囲での普及が見込まれる。

 

 

ただし注意して欲しいのは、この「風力発電参入の容易さ」が発電所の質を下げる原因にもなり得るということである。誤解を恐れずにあえて言うと、今の小形風力発電所は「物理的リスク」か「経済的リスク」を抱えているものが多く出回っていると思う。

信頼できるパートナーがいれば魅力的な事業のひとつ

物理的リスクというのは、風力事業に耐えられると思えない設備が設置されている場合があることを挙げられる。この原因は、太陽光発電ピーク時に独立・開業した多くの施工会社が、以前のように単価の高い仕事を得られていないことにある。小形風力発電は、小形といっても20m近くある風車が多い。しかしいま現地へ赴くと、構造計算を無視した基礎や、設備への理解・経験等が足りていない業者を多く目にするのだ。これでは、およそ20年間といわれる風力事業に耐えられるとは到底思えないのだ。

 

もう一方で、経済的リスク。これは、風が吹かない場所に設置されている風車が少なくないことが原因だ。風力発電の発電原資である「風」は、とても気難しい性格をしている。風車の最大の敵である「乱流」、これは読んで字のごとく乱れた風を指すが、この乱流からは発電を効率的に行えないということに加え、風車本体への負荷も大きく、装置の経年劣化を加速させる原因になってしまうのだ。

 

 

風についてもう一つ言及すると、風況調査に問題があることも多い。太陽光プレイヤーがまず考えるのがNEDO(国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構)による風況マップによる風況解析だと思う。座標点さえ入れればネットで簡単に風速・風況が閲覧できる。

 

ただし、注意して欲しい点がある。NEDOの風況マップは高さが最低でも地上高30mなのだ。現在、日本の市場に30mの小形風車は存在しない。また、このデータは500m(メートル)メッシュである。この500mメッシュというのは500m × 500mの範囲の風速の平均を算出している。ここに周りの地形や障害物の概念は入っていない。

 

もうひとつ、よく耳にする解析の仕方として「3tier」というサービスも人気のようだ。特に安価で導入しやすい3tierのWind Prospecting Toolsというデータベースが主に使われている。これは地上高20mと、小形風車の高さと同等の風況シミュレーションが売りだ。このWind Prospecting Toolsは2キロメートルメッシュである。NEDOより範囲が広がったため、その2km範囲内に山や高台があった場合、平均値はどうなるのだろうか?

 

風力のもっとも重要なポイントである用地選び。さらに、物理的リスク、経済的リスク、この2点は優良なパートナーを見つけることで解決するのが近道だ。知識や経験、会社のサポート体制など信頼できるデータによって発電原資である風況を提案できるかこれらをよく見て判断し、信頼できるパートナーを得た時、風力発電はとても魅力的な事業であると言えるだろう。

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