6年前の約半分の買取単価となった太陽光発電
いま、小形風力発電が注目されている。その最大の理由が現在のFIT制度(固定価格買取制度)にある。
FIT制度とは、経済産業省によって定められた金額と期間において、再生可能エネルギーで発電した電気を各電力会社が買い取る制度のことをいう。2012年7月1日に施行されたこの制度は、今年で6年目を迎えた。
太陽光発電はこの制度のお陰で急速に普及が進んだ。いま太陽光発電の価格は、1kwあたりの買取単価が21円で、6年前の制度開始時には40円であった単価が約半分まで下落している。しかし、太陽光モジュールや設置架台の製造コストも太陽光発電の普及に伴って、2012年と比較する約60%近くまで下がっている。
そのため費用対効果は、2012年の買取価格40円当時とそこまで変わらずに運用できるので、今でも人気のある投資商品と言えるだろう。
ただ、FIT制度の当初から太陽光発電に注目していたプレイヤーからすると、21円で太陽光を始めることにどうしても積極的になれないことも理解できる。そんなプレイヤーが注目している次の対象が、「小形風力発電」である。
「小形風力発電」市場に保険会社・金融機関も注目
小形風力発電も、太陽光発電と同様にFIT制度の対象として固定買取価格が定められている。その買取価格は2012年に1kwあたり55円からスタートし、現在でも同単価の55円のままである。同じ電気を作り、同じ相手に売っても21円と55円。この差はとても魅力的だ。
FIT制度がスタートして以来6年間、この単価が維持されている理由は単純に普及が進まなかったからだと言える。太陽光発電が急速に普及するなかで、あえて小形風力発電を導入した人は相当なマイノリティーだったと思う。
しかし太陽光発電の買取価格が下がってきた今、そういった多くのプレイヤーがこの小形風力発電の55円という買取単価に注目し始めた。注目が集まるにつれて、昨年あたりから各保険会社がこぞって小形風力発電用の保険商品をリリースし始めた。保険が整備されると、各地方銀行、リース会社、ノンバンク系の信販会社など様々な金融機関が専用商品を発表し始めている。
今まさに小形風力発電は、導入環境も整いはじめ、市場が加熱している真っ最中だと言える。ただ少し冷静になって考えて欲しい。どんな市場にも先駆者には相応のメリットと共に一定のリスクがあるはずだ。
次回はそのリスクについてお伝えしたいと思う。