単年で評価せず、20年間の事業性を見て判断
前回で風車の持つ社会性について触れた。今回は風力発電を始めるための心構え、ならびにぜひとも覚えてもらいたいことを伝える。
ひとつは、自然を相手とした事業であるということだ。特に風力発電は年度による差が激しい。例として、大形風車の毎年の発電量を見てみよう。下記は、ある東北エリアの大形風車のトラックレコード(実発電)である。
【年度】 (kWh)
14 3,272,566
15 4,115,083
16 3,697,456
17 1,490,447
18 2,475,012
19 2,457,570
20 3,356,998
21 2,960,464
22 2,760,636
23 3,134,985
24 2,655,341
25 2,828,119
26 2,759,116
27 2,516,445
28 3,413,297
見ての通り非常に「ムラ」がある。風を相手にするということは、単年で評価をせずに20年間の事業性を見る事が大切だ。もちろん、事前に風況調査を行い、発電シミュレーションを行うが、それどおりに行くことは、良くも悪くも少ない。安全にみるなら、ある一定のストレスをかけたほうがいいだろう。
24時間可動する風力…管理体制・メンテナンスが重要に
もうひとつの心構えとしては「風車は動くものである」という認識である。太陽光と違い、ブレードをはじめ可動箇所も多く、メンテナンスは最重要である。また、非メンテナンス時の管理をどのように行っているか。太陽光と違い、24時間可動するものなので、管理の体制はよく確認しておいたほうがいいだろう。これらに対し、昨今では災害補償や休業補償など、様々な専用保険も出てはいるので、そちらも整備する必要がある。
そして最後に。オーナーになったらぜひ、たまに風車の姿を見に行ってあげてほしい。発電している様子が見て分かるのは、なかなか気分のよいものだ。
以前、筆者がデンマークを訪れた際、現地の風車メーカーに勤める知人に言われた言葉がある。デンマークという国は、国内の電力の40%以上を風力発電で賄っている世界屈指の風力先進国だ。それに対して賛辞を送ったところ、彼は一言「live in future」と、至極当たり前のように、ぶっきらぼうにつぶやいた。この言葉が、今の私のモチベーションとなっている。