今回は、「香港私的有限会社」の構成内容を踏まえたうえで、登記前に決定しておくべき事項、また、その後の登記情報の扱いなどについて見ていきます。

「香港私的有限会社」とはどのようなものか?

今回は、香港私的有限会社についてその構成内容を説明します。

 

自身で香港私的有限会社設立を進める場合、登記作業において決定しておくべき構成内容、ポイントなどは、おおよそ以下のとおりとなります。

 

 

株主や取締役には居住地の限定がないため、日本など香港外の居住者(個人あるいは法人)でも、株主や取締役への就任が可能となります。

 

シンガポールは1名の現地取締役(シンガポール在住者の取締役への着任)が必要となるため、香港はシンガポールに比べて、外国人による法人設立がしやすい環境だといえるでしょう。

登記後は取締役の名前等が公開される点に注意

ただし、留意していただきたいこともあります。

 

法人設立申請の際には、株主・取締役のフルネーム・住所、個人取締役の場合はパスポート番号といった個人情報も登記する必要があり、また登記後は公開情報となります。

 

法人設立後も、取締役の登記情報に変更が生じた場合(例えば、法人取締役の場合は会社の所在地など、個人取締役の場合は自宅の住所変更やパスポート更新など)は、その都度香港会社登記所に対して、所定の期間内に取締役が署名した規定の変更通知書原本を提出する必要があります。

 

なお、上記の表に記載の通り、株主や取締役はノミニーの任命も可能です。しかしながら、取締役は会社の重要な決定機関となり、大きな権限や様々な義務を担います。そのため、単に自分の個人情報公開を防ぐ目的で外部に責任・義務を丸投げするのではなく、自らが就任するか、それが難しい場合は、信頼でき、なおかつ香港の法律に明るい第三者に、契約に基づいて依頼をされることを強くお薦めいたします。

 

次回は、日本人の方にはあまり聞き覚えのない「会社秘書役」について説明します。

本連載は一般的な観点に基づいて執筆しております。具体的なアクションを起こす際には、事前に専門家のアドバイスを受けるようにしてください。また、本連載での「オフショア」とは、あくまで「日本からみた海外」という意味合いとなりますので、あらかじめご了承ください。

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