前回は、現状の監視装置(監視システム)の問題点について取り上げました。今回は、太陽光発電所の運用効率を改善させるためのポイントを見ていきます。

データ等の表示単位、換算方法を業界内で統一すれば…

太陽光発電所を長期的に保守、運用し、より効率的、効果的に対応するためには、O&Mで実施した作業履歴(点検日と内容、発見した不具合内容、交換機器名と交換日、緊急対応の理由と対処方法など)、各時点でのデータ履歴などを記録として残していくことは重要である。

 

この記録を用い、当該発電所の発電量やパネルの経年劣化の傾向、要注意事項(発電所毎の特性)などを把握していれば、問題発生時の対応を予め計画し、緊急時の迅速な対応につながって効率的な運用が可能となり、結果的に運用コストを下げることができる。また、将来的にお客様が中古売買をする際に発電所の履歴書として、これらのデータを活用する際には、分かりやすく、適切な表現方法でまとめられていることが重要になる。

 

このような目的で、例えば発電量データを各社の監視装置からダウンロードし、統計処理を実施する場合、現状では様々な項目名(AC発電量、電力計値・・・等)、単位(kWh、MWh、MJ等)、あるいは換算方法(日単位、月単位、WhはなくWのみ、・・・等)で示されていて、相互比較がしづらい。これはデータ処理する際に間違いが発生する原因となっている。また他の数値でも同様である。

 

このような状況は運用管理者のみの問題ではなく、将来中古売買をする場合、そのデータを利用する際に、比較検討しづらく、価値の判断を困難にしている。これを防ぐためには例えば、基本的なパラメータ(測定値)については、表示単位、換算方法を業界内で統一する等のことを行えれば、各発電所の能力、履歴を数値化し、相互比較する際に有用であり、発電所を正しく理解し、公正に評価しやすくできる。運用コストを下げ、中古市場における各発電所の比較もしやすくなり、太陽光資産の流動性を活性化させるものとなる。

 

 

エラーメッセージを分かりやすく詳細な形に

監視装置から発報されるエラーメッセージには、エラーの内容、エラーコード、簡単な対応方法例、などが含まれる。これらの情報は各メーカーによって様々なものが存在する。機器の仕様がそれぞれ異なる為、当然と言えば当然だが、逆に言えば共通化(用語の統一)できる部分も少なからずあるのではないだろうか。


例えば、一言で通信不良といっても、様々な個所(インターネット~データロガー間、データロガー~パワコン間、複数のパワコン間など)での不具合が想定される為、エラーメッセージが「通信不良」等の簡単なもののみである場合、管理者は不具合箇所がどこなのか、発電に影響があるのか無いのか、またどのように対処したら良いかの判断が難しいものになる。


メーカーに問い合わせて、あるいはマニュアルを読んで詳細な情報を得ることは可能かもしれない。しかし概して時間がかかったり、欲しい情報が得づらかったりする。エラーコードは監視装置側で決めたものと、監視対象機器(パワコン等)側で決めたものが異なり、それらは特にメーカーが異なる場合一対一に紐づいてはおらず、監視装置からのコードでは目的の情報にたどりつけない場合もある。

 

他の例では、監視装置側では「パワコンで異常発生」、程度のメッセージのみが出ており、ログを確認したところ、機器故障ステータスの回数が数値で示されているのみで、それ以上の情報は得られなかったことがあった。そこでパワコンメーカー側に確認した所、温度異常を示すアラートが定期的に発生しているが、一時的な発生であれば問題無く、経過観察で良いことがわかった。せめて、パワコン側で出力しているはずの「〇〇の箇所で温度異常を検出。温度〇〇℃」などの情報が監視装置でそのまま出力されていれば、より迅速な対応ができたのでは、と思った経験がある。監視装置などの複数のメーカー間で接続が必要な機器は、十分な相互接続確認と、メッセージの表示方法などをより分かりやすいものにする工夫を期待したい。

 

 

上記、記載については、発電所の運用効率の改善のための提言であるが、記載するのもはばかれるが、我々O&Mサービスプロバイダーは、システムとオーナー様を結ぶ懸け橋となっている。改正FIT法でも定められている通り、運用、メインテナンスについては、我々プロのアドバイスを活用されることを改めて記載したい。

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