バブル懸念から多くの都市が住宅購入制限策を導入
昨年の中国不動産業は「去庫存」、在庫解消が進み市況が高騰し、大方の予想を超える好調を示した。商品性不動産(住宅、オフィス、商業ビル)販売額11.8兆元(前年比34.8%増)、販売面積15.7億㎡(同22.5%増)は過去最高、特に住宅とオフィス、地域では東部、中部の伸びが高かった(国家統計局)。
しかしバブル懸念から、多くの都市が再び住宅購入制限策を導入、開発業者への信用供与引き締めも相まって、年後半市況は軟調に転じた。17年1〜4月も、商品性不動産販売額は3.3兆元(20.1%増)、販売面積は4.2億㎡(15.7%増)、住宅を中心に伸びが鈍化している。業界再編が進む中、各企業は他企業を買収して大型化を目指すか、あるいは大手企業に吸収されるのを甘受するのか、「大魚を目指すか、大魚に食われる小魚になるか」(地元各誌)の選択に直面している。
大手と小企業が強気の一方で、中堅がやや保守的に
昨年、販売額3000億元を超えたのは3社(中国恒大、万科、碧桂園)、その他9社が1000億元を超えた。販売金額、面積いずれで見ても、不動産企業の集中が進んでいる。販売金額で見ると、上位3社、10社の市場シェアは各々10%、20%弱、上位200社で5割を超えた。上位の競争も激しく、万科は10年に唯一初めて販売金額が1000億元を突破したが、昨年のトップは恒大、本年第1四半期は再び万科が恒大を抜いた。
17年目標については、個々の企業で強気、弱気のばらつきがあるが、総じて「両極快中間慢」、すなわち大手と小企業が強気の一方、中堅がやや保守的という傾向がある(3月14日付楽居)。16年販売実績3000億元以上の3社の17年目標は、万科(対前年目標比37%増)、碧桂園(同94%増)、恒大は公表ベースでは21%増だが、社内での目標は87%増と伝えられている。
他方、16年実績1000億元規模の中堅については、中海55%増の他は、何れも50%増に満たない保守的な目標であり、また16年実績1000億元未満の中小については、1000億元目標を掲げる社(世茂房地産)、70%を超える増加目標を掲げる社(藍光発展)がある一方、相当抑え目に目標を設定している社(首創置業など)も見受けられる。
[図表1]主要不動産企業2017年販売目標
他企業の不動産買取りや吸収は、土地入札参加と並んで、都市部での土地確保を容易にし、コスト削減にも繋がる有力な手段として、大手を中心に近年活発だ。大手20社で16年1862億元強(海外での買収を含む、1月24日付联商網)、中でも「吸収合併王」と称される融創は10案件300億元、恒大も「買、買、買」姿勢が鮮明で、その戦略も不動産買取りから他企業の株取得に重点が移っている。市況の不透明感が増す中で、銀行融資、資本市場を問わず、資金がより良好な財務体質を持つ企業に向かうと見られていることから、こうした傾向はさらに加速する可能性が高い。今後5〜10年で、上位10社、100社のシェアが各々40%、80%になるとの予測もある(1月24日付新浪楽居)。
[図表2]上位不動産企業のしきい値(門檻)
[図表3]不動産企業集中度
[図表4]2017年第1四半期販売実績