事業承継対策には「現状を把握・分析すること」が欠かせません。今回は現状把握に生かしたい4つの視点について見ていきます。

事業承継対策には「現状の把握・分析」が不可欠

事業承継対策を考えるとき、とても大切なことがあります。それは「現状を把握・分析すること」です。経営者自身は、どうしても事業活動そのものに全力を注いでいるため、第三者的な視点で自分の会社を見ることが難しくなりがちです。これは仕方のないことだと思います。

 

それに、普段は一番忙しい経営者が自分で調査するということは、手間と時間を考えると至難のワザといっても過言ではありません。ですから、現状の把握・分析については、専門家に依頼するなどして実行することをおススメします。

 

ただ、専門家に依頼するといっても経営者自身が「何を把握していなければならないか」を意識しておくことが大切です。なんといっても経営判断をするのは経営者自身です。それでは現状を把握するためにどのような視点を持つとよいか考えてみましょう。

 

 

「まだ先のこと」と考えず、早め早めに現状把握を

現状を把握するときには以下の4つの視点から考えてみましょう。


1.会社の現状

2.経営者個人の現状

3.後継者や関係者の現状

4.相続が発生したとき

 

1.会社の現状

会社の財政状態(資産・負債の状況)、収益力の現状と将来見込み、キャッシュフローの状況と将来見込みといった財務に関する情報は重要です。また、株式の保有状況についても、経営権を円滑に引き継ぐためには重要な情報となります。さらに、役員構成や従業員数、年齢構成にも注意しましょう。当然、経営者と一緒に従業員も年をとるのですから、今後の事業計画と併せてしっかりと把握しておきましょう。

 

2.経営者個人の現状

経営者自身の保有株式や個人名義の資産を事業に供している場合など、経営者自身の財産状況を把握しておく必要があります。また、金融機関に対して個人保証や担保提供している場合もあります。このようなときには早めに金融機関対策が必要になりますので、まず現状がどのようになっているのか把握しておくことが大切です。

 

3.後継者や関係者の現状

親族内に後継者候補がいるのか、社内あるいは社外に後継者候補がいるのか、また、その後継者候補に対する関係者の理解が得られているのかといった視点を持ちましょう。後継者候補とされる方の適性、能力、意欲といったことも大切です。経営者の資質という面からも検討が必要でしょう。やはり会社にとっては「人」が財産なのですから。

 

4.相続が発生したとき

まれなケースですが、相続が発生したときに、それまで想定していた人以外にも相続人がいたなどということもあります。このようなことがないとも限らないので、一度キチンと戸籍で確認しておくことをおススメします。また、法定相続人同士の人間関係はいかがでしょうか。意外と「争続」になってしまうことが多いようです。さらに、相続財産はどの程度あるのか、相続税額の試算や納税資金の有無なども把握しておくとよいでしょう。

 

このように事業承継を考えるとき、まず第一段階になるのが「現状の把握・分析」になります。「まだまだ先のこと」と考えがちですが、「備えあれば憂いなし」です。一度、自身の会社をしっかりと見つめ直してみましょう。

 

 

この記事はGTACホームページより転載したものです。

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