友人の孤独死が、共同生活を考えるきっかけに
東京都内の集合住宅で暮らす田中和夫さん(72歳・仮名)は、定年退職後、年金を受け取りながら一人暮らしをしていました。
現役時代の年収は約650万円。現在の公的年金は税金や社会保険料などを差し引いた手取りで年間約240万円、月額にすると約20万円です。持ち家ではなく賃貸住宅で、預貯金は約1,500万円あります。
そんな和夫さんが老後の暮らしを真剣に考えるようになったのは、同年代の友人が自宅で亡くなったことがきっかけでした。
「亡くなってから発見されるまで、何日も誰にも気づかれなかったと聞きました。自分も一人暮らしなので、他人事ではないと思ったんです」
そこで和夫さんは、以前から交流のあった友人3名に声をかけました。
メンバーは、会社員だった鈴木修さん(70歳)、自営業をしていた高橋正子さん(69歳)、元公務員の山本美智子さん(71歳)の4人です。
4人で暮らすことで「小さな変化」に気づきやすくなる
4人で暮らせる物件を探し、大家と管理会社に4人での入居について事前に相談したうえで契約しました。家賃は月24万円。4人で均等に負担すると、1人あたり月6万円です。
これに光熱費やインターネット代などの共通費として1人あたり月1万5,000円程度を加え、住居関連の負担は1人月7万5,000円ほどです。
一人暮らしで月8万円前後の家賃を払っていた和夫さんにとって、住居費そのものは以前と大きく変わりません。それでも、広い住空間を友人と共有しながら、日常的に声を掛け合える環境を得られたことに大きな意味を感じています。
ただし、4人が同じ部屋で生活するわけではありません。それぞれ個室を持ち、キッチンやリビング、浴室などを共同で利用します。
さらに、4人で決めたルールがあります。「朝は必ず顔を合わせる」「外出するときは報告する」「夜まで戻らない場合は連絡する」といった簡単なものです。もし朝になっても姿を見せず、電話にも出ない場合は、部屋を訪ねて確認します。
「大げさな見守りサービスを導入するというより、普段の生活の中で自然に異変に気づけるようにしています」と和夫さんは話します。
