「こんなにかかるの?」排水改善で提示された見積もり
健太さんは、外構業者に庭を見てもらうことにしました。
指摘されたのは、庭の一部に水が集まりやすく、地面にも水が浸透しにくい箇所があることでした。
ただし、対応方法は一つではありません。土を入れて勾配を調整する方法もあれば、排水設備を追加する方法もあります。施工範囲によって費用も変わります。
夫婦は複数の業者に相談しました。庭全体を大きく作り直す案では、数十万円単位の費用が必要になると言われます。
「家を買ったばかりなのに、またこんなにかかるの?」
麻衣さんは驚きました。
住宅ローンだけでなく、固定資産税や火災・地震保険など、購入後に必要なお金は夫婦なりに計算していたつもりです。しかし、庭について想定していたのは、草取りや簡単な手入れ程度でした。
「庭でお金がかかるとしたら、芝生とか植木とか、きれいにするための費用だと思っていた。水を流すために工事が必要になるなんて考えていなかった」
健太さんはそう振り返ります。
夫婦はすぐに全面工事をするのではなく、特に水がたまりやすい場所を中心に整地し、排水経路を改善する工事を選びました。
費用は約30万円。決して払えない金額ではありません。それでも、住宅を購入して間もない時期の30万円は、夫婦にとって完全に予定外の支出でした。
工事後、雨が降るたびにできていた大きな水たまりは改善しました。
麻衣さんは、「戸建てを買ったこと自体を後悔しているわけではない」と話します。長男は今でも庭で遊びますし、以前のマンションより広くなった家にも満足しています。
ただ、家を見る視点は変わりました。
「マンションのときは、自分の家は玄関の内側という感覚でした。でも戸建ては、庭も駐車場も含めて自分たちで状態を見ていかないといけないんですよね」
住宅の不具合については、売主や契約内容によって責任関係が異なります。中古住宅の場合、契約内容に適合しない不具合があれば、民法上の契約不適合責任が問題になるケースもあります。ただし、庭に水がたまりやすいという事情だけで、必ず売主側の責任になるわけではありません。購入時の説明や契約内容、原因などによって判断は変わります。
一戸建てには、専用の庭や広い居住空間を確保しやすい魅力があります。一方、敷地内で起きる問題について、自分で対応を判断しなければならない場面も増えます。
住宅を選ぶ際には、晴れた日の印象だけでなく、雨の日の敷地や周辺道路の状態、排水設備、土地の高低差などを確認することも重要です。購入価格だけでは見えない部分まで確認しておくことが、入居後の予想外の支出を減らすことにつながるでしょう。
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