むしろ、本当に恐れるべきは「二次被害への誘導」のほう
テキスト情報だけでの不正契約が難しい一方、私たちが本当に警戒すべきは、漏洩情報を悪用した「フィッシング詐欺」などの二次被害です。
悪意のある第三者は、漏洩情報を利用して「情報流出に関するご案内」などともっともらしい連絡をしてきます。巧妙な偽サイトに誘導し、「運転免許証の画像(表・裏)」を直接アップロードさせたり、暗証番号を入力させたりするのです。 もし「免許証の画像データ」そのものを騙し取られてしまうと、悪用されるリスクは格段に跳ね上がります。「漏洩しているかもしれない」という焦りや不安に付け込む詐欺には警戒が必要です。
不安を解消する自己防衛策「本人申告制度」
万が一の悪用が不安な方には、信用情報機関(CIC、JICCなど)の「本人申告制度」の活用をおすすめします。
これは「情報漏洩の被害に遭ったおそれがある」といった事実を、信用情報機関にコメント登録できる制度です。この申告をしておくと、金融機関が審査のためにあなたの信用情報を照会した際、そのコメントが共有されます。金融機関側が「なりすまし被害の可能性」を認識し、通常より慎重に審査や電話での追加確認を行うようになるため、不正利用を防ぐ強力な防波堤となります(手数料を支払えば、インターネットや郵送によってご自身で手続きが可能です)。
会社から「情報の漏洩があった」と通知を受けた場合には、この制度を活用してみることも検討できるでしょう。
過度な心配は不要だが、しっかりとした警戒を
大規模な情報漏洩は許されるべきことではありませんが、SNSの不確かな情報に踊らされ、過度に不安を煽られる必要はありません。漏洩した情報のうち、テキスト情報だけで即座に借金を背負わされるリスクについては、しっかりと現状を確認することが重要です。
とはいえ、手続きの抜け穴やAIの悪用といった今後の犯罪手法の巧妙化を考えれば、「過度に心配する必要はないが、しっかりと気を付けること」が不可欠です。パスワードを速やかに変更し、不審なメールやSMSには警戒し、必要に応じて本人申告制度を活用するなど、法律と仕組みを理解したうえで冷静な防衛策を取ることが最も重要な対策といえるでしょう。
寺田 健郎
山村法律事務所 弁護士
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