「この先どうするつもり?」親子が決めた期限
実は、隆さんも気になっていました。
定年後、夫婦は年に数回旅行へ行くのを楽しみにしていましたが、娘が戻ってからは予定を立てにくく感じることがあったといいます。
麻衣さんから「旅行へ行かないで」と言われたわけではありません。それでも家に娘を残して夫婦だけで出かけることに、和子さんはどこか落ち着かなさを感じていました。
一方で、「いつ出ていくの?」とは聞けませんでした。
「最初に私が『慌てなくていい』と言ってしまったんですよね。それなのに今さら『いつまで?』と聞いたら、邪魔だと言っているみたいでしょう」
夫婦は、娘との同居をすぐに終わらせたいわけではありませんでした。ただ、当初は2~3ヵ月の予定だったはずが、気づけば1年近く経っています。麻衣さんから今後の住まいについて話が出ることも、ほとんどなくなっていました。
「このままずっと一緒に暮らすつもりなのかな」
夫婦で話しても、答えは出ません。
そこである休日、和子さんは麻衣さんに尋ねました。
「追い出したいわけじゃないんだけど、この先どうするつもりか、一度3人で話さない?」
すると麻衣さんは、「そんなに気にしてたの?」と驚いたそうです。実家からの通勤にも慣れ、家賃も抑えられるため、いつの間にか一人暮らしへ戻る時期を具体的に考えなくなっていました。
話し合った結果、麻衣さんは半年後を目安に再び一人暮らしをすることにしました。
それまでの間も、生活の仕方を少し変えます。
平日の夕食が必要かどうかは昼までに連絡する。週に何度かは麻衣さんが食事を用意する。家に入れるお金についても、3人で改めて確認しました。
そして夫婦は、娘の予定にかかわらず旅行へ出かけることにしました。
「話してみたら、娘は『旅行なんて好きに行けばいいじゃない』と言うんです。私が勝手に、娘がいるから家にいなきゃと思っていたんですよね」
麻衣さんが実家へ戻ったことを、和子さんは今も後悔していません。ただ、最初に「2~3ヵ月」と決めていたのに、その期限を曖昧にしたことは反省しているといいます。
最初は短期間の予定でも、事情が変わることはあるでしょう。そのときに「出ていってほしい」となるまで我慢するのではなく、今後どう暮らしたいのかを途中で確認する。同居を続ける場合にも、生活費や家事、互いの予定について改めて話し合うことが、親子それぞれの生活を守ることにつながるでしょう。
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