相手の過失分を活かす…自賠責保険と「健康保険」を併用した治療費の支払い
一方で、骨折したアキラ君の治療費はどうなったのでしょうか。アキラ君の交通事故の相手の過失割合は40%あり、自賠責保険の傷害の補償限度額は120万円です。この限度額までであれば、過失相殺されずに満額の補償を受けることができます。
そこでミホさんは、相手方の保険会社からの提案を受け、健康保険を利用(健保先行)して治療を受けました。自由診療(自動車事故扱い)の場合、医療費は1点15~30円で計算されますが、健康保険を利用すれば1点10円で済みます。なお、健康保険が負担した7割のうち、乗用車の過失に相当する分は健康保険から自動車保険に請求されます(第三者行為求償)。
このように手続きをしたことで、自賠責保険の限度額120万円を有効に活用することができました。ただし、アキラ君は13歳であるため、ミホさんが入院に付き添うために会社を休んだり早退したりした分の費用や、お見舞いのための交通費などは、自賠責保険の補償対象外となりました。
自転車は「走る凶器」…未成年者も交通ルールの遵守を
自転車であっても、ハンドルを握れば運転者として交通ルールを遵守する義務があります。万が一事故を起こした場合、「子どもだから悪くない」という言い訳は通用せず、その損害賠償責任は親に向かいます。
近年、IT技術の向上により乗用車の安全性能は著しく向上していますが、アキラ君のような自転車の突然の飛び出しを完全に防ぐことは困難です。一方で、自転車自体の性能が向上している分、万が一の事故時の衝撃や被害は大きくなる恐れもあります。
全国の子育て・孫育て中の父母や祖父母は、未成年の子どもや孫が乗る自転車も走る凶器になり得ることを認識すべきでしょう。ひとたび交通事故を起こせば、「ウチの子は悪くありませんから」という理屈は決して通用しません。
自転車も走る凶器といっても過言ではありません。小学校や中学校では、警察がスタントマンを雇って安全教育をすることもありますが、家庭内でも日頃から実のある安全教育を行うことが重要です。
大泉 稔
1級ファイナンシャルプランナー
※個人情報保護の観点から、登場人物の情報を一部変更しています。
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