「ココナッツオイル」や「アマニ油」などが話題だが…
ここ1、2年ほど「オイル」がブームになっています。ココナッツオイルやアマニ油などは抗酸化作用があり美容にも健康にも良いとされ、雑誌の特集などを飾っているようです。
その延長線上で、朝一番でスプーン1杯のオイルを飲むと便秘解消に良い、といった記事を見かけるようになりました。オイルが胃腸をほどよく刺激し、腸の〝すべり〟を良くしてスムーズな排便を促すというのが概要です。
油が大腸にまで達することは考えられない!?
しかし、油が大腸に達するという説明には、首をかしげざるを得ません。
一般的に脂肪分は、人間の体内に入ると十二指腸で乳化され、小腸で吸収されます。その後タンパク質と結合し、リンパにのって全身に運ばれます。一部は小腸から門脈を通り、肝臓に運ばれますが、いずれにしても大腸まで届くことはまず、考えられません。
小腸の中でいえば、実は脂肪分は糖分やタンパク質よりも早く、真っ先に消化吸収される栄養素なのです。ただし胃での滞留は長いので、脂肪分が多い肉などの食べ物は腹持ちが良いと言われるのです。
したがって、油を飲んでもそのまま大腸に達するとは考えにくく、まして腸壁をなめらかにするかのようなイメージには疑問を抱きます。