「他人の時計に合わせない」株式投資に必要な“のろま”な姿勢
「のろま」という言葉に、みなさまはどんな印象をお持ちでしょうか。
おそらく、ポジティブなイメージを持つ人は少ないはずです。個人的な語感ではありますが、「のろま」とは、常に「他人の目」から生まれる評価の言葉です。自分自身のことを、好んで「私はのろまです」と紹介する人と私は会ったことがありません。
当の本人がじっくりと時間をかけて本質を吟味し、納得がいくまでたっぷりと思考を巡らせている、なかなか結論が出ない、決断しない―― 。その様子を、すぐ隣で「速さ」を競っている他人が見て、焦燥感や苛立ちを込めて「のろま」と評する。それがこの言葉の正体でしょう。
私たちは、他人に「のろま」だと思われたくない、周りのスピードに順応しなければ取り残される、というプレッシャーを至るところで感じる日常を過ごしています。
しかし、断言します。株式投資において、その種のスピードへの同調は、不要であるばかりか、明白な害悪です。
周囲が凄まじい速さで中身を取っ替え引っ替えしようとも、目まぐるしく変わる流行に飛び乗ろうとも、あなたの時間はあなただけのものです。周囲から受ける「速くしろ、早く決めてくれ」というプレッシャーに対しては、徹底して「鈍感」であって構いません。
むしろ、そのプレッシャーをノイズとして一切無視し、自分が目の前で向き合っている対象をじっと見つめる、納得するまで観察してみること。その姿勢が株式投資において違いを生み出します。
「のろま」と評されることに怯えて、腹の底から納得できないまま、あなたが関心を寄せた対象から目を逸らしてはいけません。じっくりと観察しつづけてきたからこそ得られる洞察を手に入れなければなりません。
他人の時計に合わせるのをやめ、自分自身の「納得」という時計を動かし始めた時、あなたは誰にも揺るがされない意志を持った「のろまな投資家」へと変貌できるのです。
そう、「のろま」とは主体的に観察し、考え、検討し、他人に振り回されず自分自身の納得を何よりも最優先させる姿勢なのです。