「あいつ、俺が死んだら勝手に土地を売る気では?」多額の借金をしてきた次男に30億円の土地を相続させるべきか…トラブルを防ぐ〈平等相続の切り札〉

「あいつ、俺が死んだら勝手に土地を売る気では?」多額の借金をしてきた次男に30億円の土地を相続させるべきか…トラブルを防ぐ〈平等相続の切り札〉
(画像はイメージです/PIXTA)

複数の子どもに財産を「平等に」相続させたいと考える地主の方は少なくありません。しかし、相続人の一人が先祖代々守ってきた土地を勝手に売却してしまうリスクが気になります。特に保有資産が大きかったり、事業の失敗などで資金繰りに苦しんだ経験がある相続人がいたりする場合、その不安はより現実的なものになります。弁護士の上原幹男氏がこれまで担当してきた相続案件をもとに、広大な土地と現金を信託することで解決に至った事例を再構成してご紹介します。

「家族信託」で平等な取り分と資産の保全を両立

そこで私が正一さんにご提案したのが、「家族信託(民事信託)」の活用でした。

 

具体的には、正一さんを委託者として、土地と金融資産をまとめて信託財産とし、信頼できる長男の隆さんを受託者に指定。信託財産から生じる経済的利益(受益権)については、隆さん・卓也さんの2人に均等に帰属するよう設計しました。

 

特にこだわったのは、信託契約の中に「委託者の死亡後、一定期間は信託財産である土地を第三者に売却しない」「やむを得ず売却する場合は、受益者全員の合意を必要とする」といった条項を盛り込んだ点です。

 

これにより、次男の卓也さんが単独の判断で土地の持分を処分することはできなくなり、長男の隆さんが望まない形で先祖代々の土地を手放すリスクも回避できるようにしました。

 

契約締結後、正一さんからは「これで安心して財産を残せる」というお言葉をいただきました。

 

家族信託は、遺言や単純な共有名義とは異なり、財産を渡した“後”の相続人の行動まで一定の範囲で拘束できる点に大きな特徴があります。特に、資産規模が大きく、相続人の中に浪費や事業リスクへの不安を抱える方がいる場合には有効な選択肢となり得ます。

 

ただし、信託契約の設計を誤ると、かえって相続者間の不信感を招くこともあるため、導入にあたっては弁護士など専門家と十分に相談しながら進めることをお勧めします。

 

 

上原 幹男

弁護士法人上原総合法律事務所

代表弁護士

※本記事は、著者がこれまでに担当した複数の相続・信託案件をもとに、個人が特定されないよう再構成した架空の事例です。登場する人物、年齢、家族構成、資産状況等は実在のものではありません。

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