今回は、マンションリフォーム工事における管理組合(理事会)の関与の仕方について見ていきます。※本連載は、マンション維持管理支援・専門家ネットワークの編著書『Q&Aマンションリフォームのツボ―管理組合・居住者が知っておくべきトラブル予防・解決の必須知識』(民事法研究会)の中から一部を抜粋し、リフォームにまつわるトラブルを防止し、マンション全体の資産価値の向上にもつながるリフォームの基礎知識を具体例とともに紹介します。

リフォームに関する細則の役割

管理組合は、専有部分のリフォームに際して、どのようにかかわるのでしょうか。

 

専有部分のリフォームであっても、共用部分やマンション全体の維持・管理に影響を与えたり、他の住戸に影響を与える場合があるため、管理組合は、細則を定めるなどして、適切に管理することが必要です。

 

(1)リフォームに関する細則の役割

巻末に参考資料として、マンション維持管理支援・専門家ネットワーク版「専有部分のリフォーム工事に関する細則」(以下、「当ネットワーク版細則」といいます)を掲載しています(※書籍参照)。この細則は、公益財団法人マンション管理センターの「専有部分の修繕等に関する細則」を参考に、現実的な運用を踏まえて作成したものです。このような細則が必要となるのは、リフォームを進めるにあたって問題を引き起こさないようにすることが目的であるだけでなく、将来発生する工事の際や不具合の発生時において、過去に専有部分でどのような工事が行われていたのかを把握する必要が生じるためです。

 

よって、考え方によってはすべての工事を理事長の承認を要する工事とすることも考えられますが、理事長(理事会)の業務量が大幅に増えてしまうこと、区分所有者(施主)においても手続が煩雑になり時間を要することから、当ネットワーク版細則では「理事長への届出のみ」でできる工事と「理事長の承認が必要」となる工事に分けて考えられています。

施主からの「届出」「要承認事項」があった場合

(2)届出の場合

理事長は、施主から工事の1週間前に提出されていれば、届出手続書類を保管するのみです。

 

ただし、「届出」で足りると考えていたとしても細則上承認を必要とする工事である場合もあるため必ず確認してください。

 

(3)要承認事項の場合

施主は、工事30日前までに、設計図、仕様書、工程表のほか、理事長が指示する書類を添付して、理事長に申請書を提出します。

 

施主は、理事長が専門家による確認・調査が必要と判断した場合、調査費用を管理組合に支払います。理事長は、専門家に確認・調査を依頼します。

 

その後、理事長は、施主に結果を通知します。

 

理事長は申請があった場合、その内容を確認することになりますが、専門家でないと承認の可否について判断することが難しい内容が多々存在します。そのような場合を想定して、確認や調査を依頼する専門家をあらかじめ選定しておき、委託費用も決めておくとよいでしょう。

本連載は、2015年12月1日刊行の書籍『Q&Aマンションリフォームのツボ―管理組合・居住者が知っておくべきトラブル予防・解決の必須知識』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない場合もございますので、あらかじめご了承ください。

Q&Aマンションリフォームのツボ―管理組合・居住者が知っておくべきトラブル予防・解決の必須知識

Q&Aマンションリフォームのツボ―管理組合・居住者が知っておくべきトラブル予防・解決の必須知識

民事法研究会

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