ギグワーカーの所得をどう捕捉するのか――アメリカ税務当局が直面する「1099問題」【国際税理士が解説】

ギグワーカーの所得をどう捕捉するのか――アメリカ税務当局が直面する「1099問題」【国際税理士が解説】
(※写真はイメージです/PIXTA)

ギグエコノミーの拡大により、プラットフォームを通じて収入を得る個人が急増するなか、税務当局はその所得をどう把握するかという難題に直面しています。米国では「Form 1099」に代表される第三者情報報告制度が所得捕捉の要となってきましたが、ギグワーカーをめぐる制度改正は現場の混乱を招き、思うように進んでいないのが実情です。本稿では、4月末に『トランプ劇場と超富裕層課税 増税か、減税か——税制が映し出すアメリカの真実』を刊行した奥村眞吾税理士が、デジタル経済時代における所得捕捉の課題を日米比較の視点から考察します。

日米共通の課題――デジタル経済の未来

この問題は米国だけの話ではありません。日本でもフリーランスや副業人口の増加に伴い、個人所得をどのように正確に把握するかが喫緊の課題となっています。

 

日本には米国のような網羅的な1099制度(全事業者に一元的に義務付ける支払調書制度)は存在しません。

 

しかし近年では、インボイス制度の導入による免税事業者の取引捕捉や、税務当局がプラットフォーム事業者に対して利用者の取引情報の任意提供を求める「情報照会手続」の整備など、日本独自のアプローチで捕捉強化が試みられています。

 

プラットフォーム経済が拡大するなかで、税務当局がすべての小口取引を直接確認することは現実的ではありません。日米に共通する本質的な課題は、膨大な少額取引をどのように効率的、かつ社会的な混乱を招かずに把握するかという点にあります。

 

税務職員の人数には限界があり、少額所得を一件ずつ調査・執行するコストも決して小さくありません。

 

デジタル経済の発展によって柔軟な働き方が可能になった一方で、税務行政は「所得をどう捕捉するのか」という古くて新しい問題に直面しています。ギグエコノミー時代の税務執行は、今後も米国だけでなく世界各国にとって、制度の公平性と実務の現実性の間で揺れ動く、重要な政策課題であり続けるでしょう。
 

 

奥村 眞吾
税理士法人奥村会計事務所
代表

 

 

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