資産5億円→“借金”5億円へ…ホステスも去った「裸の王様」の末路
しかし、いざ開業した託児所は、開店から半年経っても利用者は十数人ほど。それも従業員が連れてきた人ばかりで、肝心のホステスの女性の利用はゼロでした。
実は、Iさんの失敗は託児所だけではありません。過去にも「ホステスのため」と喫茶店やトリミングサロンなどを起業しては、ことごとく失敗を繰り返していたのです。さらに、空室を埋めるための莫大な広告費や度重なるリフォーム代、複数台の高級車のローン、そしてホステスへの高額な贈り物など、湯水のように金を使っていました。
このときのIさんが所有する不動産の時価は3,000万円にまで下がり、逆に借金は約5億円に膨れ上がってしまいました。資金繰りが完全にショートし、銀行からの督促が相次ぐようになると、事態は急転直下。
あれほどちやほやしてくれていたホステスたちも、金の切れ目が縁の切れ目とばかりに、一人、また一人とマンションから去っていきました。
見栄を張る相手も、守るべきプライドも失ったIさん。祖父が遺した5億円を食いつぶした末に借金5億円を残したまま、ある日を境にぷっつりと姿を消してしまいました。
現在、Iさんの行方を知る者は誰もいません。
【FP解説】「俺は騙されない」と豪語する男性が“格好の餌食”にされたワケ
祖父の代から続く5億円もの資産が、なぜIさんの代であっけなく終わりを告げてしまったのでしょうか。
転落へのマイルストーンはいくつもありました。たとえば、賃貸マンションのリニューアル工事や入居者の募集、複数の託児所や店舗の開業など。Iさんは、その都度、業者やコンサルタントの話に耳を傾ければよかったのですが、自身の思いを一方的に何時間も話し続けるばかりだったのです。
「俺は銀行や不動産屋、保険屋の口車には絶対に乗らないし、騙されないからな!」と、Iさんは常々豪語していました。
もちろん、業者の話を「鵜呑みにせよ」というのではありません。聞いたうえで、参考にできるところは学び、断るところはキッパリと断り、場合によっては代案を提案してもらえばよかったのです。
資産を減らし続けていたとはいえ、金払いのよいIさんは結局、銀行や不動産会社、工務店、保険代理店のカモになっていたのです。綺麗な女性をいつも隣に侍らせ、見栄を張っていたからというのもあったかもしれません。
