(※写真はイメージです/PIXTA)

株や債券と異なり、「実物資産」は基本的には売買を繰り返さず「持ち続けること」で資産の質的分散を図る商品です。ライフプランの変化などで換金が必要になる例外的なケースを除き、その最終的な出口は「相続」に行き着きます。本記事では、田中徹郎氏の著書『資産運用の視点からみた 決定版 アンティーク・コイン投資のすべて』(日本実業出版社)より一部を抜粋・再編集し、アンティーク・コイン投資の出口戦略について解説します。

最終的な出口は「相続」…株や債券が遺族の心理的負担になるワケ

「子や孫にどうやって資産を遺せばいいか」──この点に関し、人は歳を重ねるごとに深刻な問題として向き合う機会が増えていくものです。もちろん、現在保有している株や債券、現預金などをそのまま相続していいのですが、その場合、いくつか注意すべき点もあります。

 

株価は上下動が激しく金融危機や経済的なショック、あるいは紛争や戦争など、その時々に起こる出来事によって大きく価値が減る場合があります。もちろん逆もあります。経済が活況状態になると株価は上がりますし、予想を超える好指標の発表で株価が急騰することもよくあります。

 

このように株価は上にも下にも動きやすいのですが、私たちに万一のことが起きた場合、一般的に相続の手続きが終わるまで証券口座は動かせません。現預金はハイパーインフレや財政破綻がない限り、大幅な価値の毀損はないですが、たとえば債券、特に外貨建ての債券は為替の変動もありますから、思いのほか大きく値動きすることがあります。

 

このように相続手続きが完了するまでに株や債券の値が動くことはよくある話で、この間、相続人は、ハラハラしつつ相場を見守るしかありません。

値動きが少ない資産「アンティーク・コイン」…ただし相続に向かない“ガラクタ”も

一方、コインはどうでしょう。そもそもコインは値動きの緩やかな金融商品ですし、仮に値が動いていたところで相続人がその相場を知ることは難しいでしょう。コインの相場を最も簡単に知る方法はオークションの落札価格ですが、一般の方がそのような情報に接する機会はまずありません。

 

つまり相続人にとって、相続したコインは値動きがない資産に見えるものなのです。

 

このようなコインの特性によって、相続を受ける側の心理的負担が減ります。過去を振り返れば、人間がコインを収集しはじめたのは古代ギリシャ・ローマ時代だそうで、特に、ヨーロッパの貴族や富裕層は、収集したコインを代々引き継いできたと聞きます。

 

紙の資産と違い、長期にわたって価値が保全され、なおかつ保管に際し場所を取らない点などで、コインはよほど相続に適した資産だったからでしょう。コインのこの特性は現在でも色褪せていません。

 

ただし、コインなら何でもOKというわけにはいきません。私自身も経験してきたことですが、あまりお金に余裕のない若いころは、たとえば数千円の古銭などを随分と買ったものです。

 

歳を重ねて相続を意識するにしたがって、このような安価なコインは相続に向かないことを知りました。なにより数が多くなってしまいますので保管や管理が大変ですし、これは相続や贈与される側にとって決してありがたい話ではありません。それでも受け取ったコインが価値のあるのものなら、多少管理が面倒でも問題はありません。

 

ところが、もし受け取ったコインが価値の低いものだったらどうでしょう。1枚数千円程度のコインを何十枚、場合によっては何百枚もらっても、決してありがたくはなく、せいぜい「おじいちゃんはなんでこんなガラクタを持っていたんだ」と迷惑がられるのが落ちでしょう。最悪の場合、廃品として回収に出されてしまうかもしれません。

 

そんな悲しいことにならないように、相続を意識してコインを収集することをお勧めします。

 

 

田中 徹郎

株式会社銀座なみきFP事務所

代表/FP

※本連載は、田中徹郎氏の著書『資産運用の視点からみた 決定版 アンティーク・コイン投資のすべて』(日本実業出版社)より一部を抜粋・再編集したものです。

資産運用の視点からみた 決定版 アンティーク・コイン投資のすべて

資産運用の視点からみた 決定版 アンティーク・コイン投資のすべて

田中 徹郎

日本実業出版社

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