親から無意識に受け継がれる「お金の大誤解」
僕の子どもである君たちは大丈夫だと思うが、世間にはいくつかお金持ちになるメンタルをブロックする「お金に対する誤解」がある。
最たる例は、「お金儲けは悪いこと」という思い込みだ。
たいてい、そういう思い込みは両親によって植えつけられる。
「あんなにお金を稼ぐなんて、悪いことをしているに違いない」という言葉をよく耳にする。そんな言葉を両親から聞かされなくても、両親の態度から子どもに伝わってしまうこともある。
すると、子どもの心にお金に対するネガティブなイメージが形成されてしまう。
僕の知る限り、そんな金融教育をするお金持ちを見たことがない。彼らは、お金とは「感謝の対価」であり、社会への「貢献の証」だと教えている。
たとえば、君たちが僕の仕事の手伝いをしてくれたら、僕はその感謝の証としてお小遣いをあげているはずだ。そして、貢献度が高いほど対価は上がっていく。
これは家族間の話ではあるが、基本的に世の中のお金もそうやって回っている。
報酬は仕事に対する対価であり、社会に対する貢献の証。だから、稼ぐことに対するモチベーションも上がるのだ。
しかし、お金を「汚いもの」「奪い合うもの」として教えてしまう親は少なくない。これはとても残念なことだ。
もう一つ、よくある誤解が「お金は額に汗して稼ぐもの。だから、投資でラクして稼ぐのはズルい」という思い込みだ。
その考え方は「苦労しなければ報われてはいけない」という固定観念にある。
そして、「ラクして稼いではダメだ」と子どもに言い聞かせることで、その固定観念は子どもに引き継がれる。
確かに、お金は労働の対価として得るものだ。
ただし、それは投資も同じ。投資は「お金に働いてもらって得た対価」であるうえに、決してラクな稼ぎ方ではない。
おそらく、投資をしたことのない人が思い込みでそう言っているのだろう。
たいてい、そんな人が次に言うのは、「投資なんてギャンブルだ」というセリフ。
投資にリスクがあることは否定しない。だが、投資もせずに、収入源を1本に絞るほうが、よほどリスクが高いのではないだろうか。
借金に関してもそうだ。「借金はよくない」とはよく言われるが、借金と言っても使い道はさまざま。
すべきではない「悪い借金」と、してもいい「借金」がある。
「悪い借金」は遊興に浪費してしまう借金だが、たとえばビジネスで100万円を借りても、300万円の利益を生む可能性が大きいなら、それは悪い借金ではない。
実際に僕はコロナ禍で、それまで続けてきた無借金経営をやめて、国から初めて融資を受けた。それは会社と社員、そしてその家族全員を守るための借金だ。このような借金は「悪い」借金ではないと思う。
株式投資でいえば、信用取引も借金の一つだ。一般的な投資と比べてリスクは上がるものの、きちんとしたリスク管理のもと、充分な根拠のもとに「ここぞ!」という局面で信用取引を利用して投資をするのは、必ずしも悪いことではない。
ちなみに、経営において「無借金経営」を誇る企業は少なくない。
確かに財務の面で安全性は高いと言えるが、こと上場企業にとっては、投資家はそれを企業が成長の機会を逃していると判断することがある。
「赤字の質」を見極めずに、借金をすべて悪とするのはナンセンスだ。
いずれにせよ、お金に対する思い込みが強いと、お金持ちになるチャンスを逃す。
お金儲けは決して悪いことではないのだ。
福沢諭吉は「金銭は独立の基本なり、これを卑しむべからず」と言った(※8)。
この言葉を胸に刻みたい。
