借金の存在そのもの以上にショックだったこと
恵子さんにとって衝撃だったのは、借金の存在そのもの以上に「長年知らされていなかった」という事実でした。
「信頼されていなかったのかな、と感じました」
その後の旅行は、当初のような穏やかな空気ではなくなりました。
「楽しいはずの時間なのに、どこかぎこちなさがありました」
今回のケースではすでに完済済みでしたが、借入や債務の問題は家計全体に影響を及ぼす可能性があります。
金融経済教育推進機構『金融リテラシー・マップ(2023年改訂版)』でも、借入は生活設計の中で位置づけ、返済計画を含めて管理することの重要性が示されています。また、配偶者が知らないまま債務が膨らむケースでは、保証や相続の場面で問題となることもあります。
帰国後も、夫婦の間にはしばらく距離がありました。
「すぐに元通りにはなれませんでした」
正樹さんはこう振り返ります。
「早く言っておけばよかったと、何度も思いました」
時間をかけて話し合いを重ねる中で、夫婦は少しずつ関係を修復していきました。現在は、家計や資産についても共有しながら生活しています。
定年後は、家計も生活も「夫婦単位」で向き合う時間が増えます。その中で、これまで見えなかった問題が浮かび上がることもあります。
「お金のことも含めて、ちゃんと話しておくべきだった」
正樹さんはそう話します。
老後の安心は、資産の額だけで決まるものではありません。お互いの状況をどれだけ共有できているか――その「見えない土台」が、これからの生活の安定を支える要素になるのかもしれません。
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