(※写真はイメージです/PIXTA)

次世代フードテックの投資先として期待を集める「培養肉」ですが、産業として確立させるには莫大なコストとエネルギーが必要不可欠です。本記事では、バーツラフ・シュミル氏の著書『世界はいつまで食べていけるのか:人類史から読み解く食料問題』(栗木さつき訳、NHK出版)より一部を抜粋・編集し、生産スケールアップに立ちはだかる技術的な壁など、投資家が知っておきたい「試験管ミート」の経済的・環境的な限界を解説します。

人工的に肉をつくり、金を稼ぐ

2021年3月、代替タンパク質生産者の非営利団体グッド・フード・インスティテュートは技術経済性分析を発表し、2030年には培養肉のコストは重量1ポンド(454グラム)当たりわずか2ドル50セントとなり、現在より1万ドル以上下がるだろうと予測した。つまり、現在の培養肉の生産コストを4,000分の1に下げて、ふつうの食肉のコストと同程度にするというのだ!

 

この主張を受け、ファイザーのアニマル・ヘルス事業部の元幹部ポール・ウッドは、この報告書について独立した分析を依頼した結果、次の理由によって団体の主張を退けた。

 

まず、消費される最終製品が特定されていないこと。見積もったコストには浄化・包装・流通のプロセスが含まれていないこと。培養細胞の増殖には、食品生産規模では実現不可能な製薬レベルでの恒久的な無菌培養が必要になること。細胞を培養してつくられたタンパク質には必須ビタミンや必須ミネラルを添加して足りない栄養成分を補い、油脂の添加によって風味をよくする必要があることなどだ。

 

おそらくもっとも根本的な問題は、製薬業界がこれまで15〜20年をかけて細胞由来の医薬品の生産性を10〜20倍に向上させてきたことを考えると、細胞由来の培養肉の生産にかかるコストを現在の1,000分の1未満に削減できるとは考えにくいことだ。

「培養肉」に経済的合理性はあるのか

獣医学コンサルタントのヒュー・ヒューズは、2021年2月のアメリカ産の(不要な脂肪などを除去した)鶏肉の卸値が1キログラム当たり3.11ドルであったのに対して、1キログラムの培養肉にかかる実質コストはそれより8,500〜3万6,000ドルほど高くなると述べた。

 

さらに、「これらのコストの見積もりは、なまの培養肉を浄化・加工・包装し、汚染物質を含まない風味のいい製品にするプロセスを経てようやく消費者向け製品になることを前提に考え、もっと高く見積もるべきである」と述べている。

 

これはグッド・フード・インスティテュートが発表した楽観的な見積もりに強く反論した二番目の分析だった2020年12月、試験管ミートのプロセスに対する詳細な評価がおこなわれ、一連の技術的課題(細胞の代謝、リアクターの設計、原材料のコスト、自動高速処理設備のコストなど)があきらかになり、培養肉が年間数百万トンもの食料を提供できる規模に発展する見込みは薄いことが判明したのである。

次ページ培養肉の産業化に必要なコスト

※本連載は、バーツラフ・シュミル氏の著書『世界はいつまで食べていけるのか:人類史から読み解く食料問題』(栗木さつき訳、NHK出版)より一部を抜粋・編集したものです。

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