<やっておくと、ここがラク>
◆医療、介護のための費用を準備しておける
◆資産状況に見合った生活がわかる
お金がなければ、満足な介護やお葬式、相続ができない
この連載では、お金に関するお話をしましょう。終活セミナーでも、もっとも人気のあるテーマです。
みなさん薄々気づいていると思いますが、親の老後とお金は切っても切れない深い関係があります。お金がなければ、満足のいく介護や医療、お葬式、供養、相続ができません。子どもにも負担がかかります。先延ばしにせずに、ひとつずつ整理していきましょう。
ゆとりある老後生活には毎月「35.4万円」が必要
2015年に総務省が発表した〝高齢夫婦無職世帯の家計収支〞によると、高齢の夫婦(夫65歳以上、妻60歳以上)の場合、1か月の生活にかかるお金は平均27万5706円。年金などの収入は平均21万3379円で、毎月6万円以上が不足している計算になります。
また、2013年に生命保険文化センターの行なった〝生活保障に関する調査〞によると、ゆとりある老後生活を送るためには、1か月あたり35.4万円が必要という結果が出ています。
たとえば65歳のリタイア後から男性平均寿命80歳までの15年間、ゆとりある生活を送るとすると
35.4万円×12か月=年間424.8万円
424.8万円×15年=15年間で6372万円
こんな計算になります。もう一度言いますね。働かずに6372万円が必要になります。
夫婦で受け取る平均年金受給額は20万円くらい。たまには旅行やゴルフを楽しんだり、外食をしたりするゆとりある暮らしをすると、毎月16万円くらいのマイナスになります。
そのお金を一体どこから捻出するかです。足りないぶんは、貯金をはじめとする、資産を取り崩していくしかありません。
おそろしいことに、この35.4万円の中には介護や医療に必要なお金は含まれていません。健康であることが大前提なのです。
ところが生きていると、あり得ないことが起こるものです。病気や老化はコントロールできません。たとえば介護が始まったら、介護施設の入居金、介護ベッドのレンタルなどで初期費用として300万円はかかるといわれます。
また、親に隠れた借金がある。家や土地はあるけれど、まったく現金がない。こんな状況では、万一のときに親のお金をあてにできなくなります。「親のことは親自身が何とかするはず」などと悠長なことを言っていると大変なことになります。
状況によっては、親の介護費用や入院代、葬儀代を、子どもであるあなたが負担することになるからです。そうならないためにも、早めに親の資産状況を把握しておきましょう。
ポイントは大きく分けて
●預金口座
●不動産
●保険
●ローンや借金
●株券などの有価証券
です。使わないものは解約する。現金に換えていくなど、無駄を省くことが先決です。次からくわしく見ていきましょう。