「海は綺麗でした。でも、生活は小さくなってしまって…」
C美さんが再訪した頃、夫婦の生活はさらに変わっていました。外出は週1回の買い出しのみ。散歩はほぼなし。近所付き合いも限定的でした。
「ここ、静かすぎるのよね」
B江さんはそう漏らしました。都会では日常に人の気配がありました。地方では隣家との距離も遠く、交流機会が少なかったのです。
移住前、夫婦は自然環境を重視しました。しかし実際の老後生活では、別の要素が重要になっていました。
●医療への距離
●買い物利便性
●移動手段
●社会的つながり
高齢期は生活圏が縮小するため、これらが暮らしやすさを左右します。
C美さんは言います。
「海は綺麗でした。でも、両親の生活は小さくなってしまって…」
都会にいた頃より、外出も会話も減っていました。「楽しそう」という印象が、「心配」に変わったといいます。
C美さんは両親に聞きました。
「戻りたいと思わない?」
A彦さんは静かに首を振りました。
「ここは俺たちが選んだ場所だからね」
住宅は売却済み。都市部の住まいに戻る選択肢はありませんでした。老後移住は住み替えの中でも不可逆性が高い決断です。一度生活基盤を移すと、再移動は経済的にも心理的にも難しくなります。
移住は否定されるべき選択ではありません。満足している高齢者も多くいます。
ただし老後の住まいは、
●景観
●価格
●広さ
よりも、
●医療アクセス
●生活圏
●移動手段
●社会的つながり
で暮らしやすさが決まります。夫婦の選択は失敗ではなかったものの、想定していなかった現実と向き合う場面もあったのでした。
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