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日本人の「9割」の労働時間で年収は「1.2倍」
スウェーデンでは、わが家のように夫婦共働きが一般的だ。フルタイムの勤務時間は1日7時間、あるいは8時間。だから、それぞれの家庭では保育所あるいは学校への送り迎えと仕事との両立に腐心している。夫婦で送りと迎えをそれぞれ担当することも一般的だ。
職場でも、朝早くから出勤して迎えのために15時には退社する社員もいれば、子どもを送ってから出勤して夕方までいる社員もいる。残業は基本的にないため17時を過ぎれば社内はガラガラとなる。
OECD(経済協力開発機構)の統計では、23年のスウェーデンの1人当たり平均年間総実労働時間は1431時間で、日本の9割以下に過ぎない。しかし、スウェーデンの人々は仕事をしていないわけではない。購買力を考慮して比較した1人当たりのGDP(世界銀行、24年)はスウェーデンが日本の1.37倍で、平均年間賃金(OECD、24年)も1.22倍に上る。
一方で、子育てに関しては日本以上に夫婦が協力して行っており、ユニセフが25年に発表した子どもの精神的幸福度は先進国36カ国中14位と目立つ順位ではないものの、日本の32位を大きく上回っている。
在住25年でわかった、スウェーデンと日本の「差」
少々乱暴な物言いかもしれないが、スウェーデンの人々は日本の人々に比べて、子育ても仕事もうまくしているのではないだろうか。もしくはスウェーデンは日本に比べて、子育ても仕事もしやすい環境にあるのではないだろうか。
京都大学の学部生だった00年に交換留学生としてスウェーデンで生活を始めてからすでに25年の年月が過ぎようとしている。
1年間の交換留学の後はスウェーデンの大学院に進学し、経済学の修士号と博士号を取得。また、大学での勉強のかたわら、スウェーデンの経済や社会についてまとめた『スウェーデン・パラドックス高福祉、高競争力経済の真実』(共著、日本経済新聞出版)を執筆もした。
そんな中でスウェーデン社会の仕組みや人々の考え方をよく理解したつもりではいたが、17年に長男が生まれてからは、子育てをする親としての新たな視点でスウェーデン社会と向き合うこととなった。
息子が生まれてからこれまでを振り返ってみて思うのは、子育てと仕事の両立が可能で、男性・女性が性別にかかわりなく自分の生きたい人生を送れるスウェーデン社会の恩恵を私は存分に享受してきた、ということだ。それは、スウェーデンの制度によることも大いにあるが、それだけではないようにも感じる。
そんな私の生活を出発点とし、この社会がどのように成り立っているのか、子育て世帯がどのように暮らしているのかを描きながら、日本社会が男女平等を実現していくための教訓や示唆を考えていこうと思う。
佐藤 吉宗
SEB
シニア・データサイエンティスト
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