深刻な環境汚染もEV普及を推し進める要因に
また、インドは急速な都市化にともない深刻な大気汚染問題に直面しておりまして、インド国民もSNS上でブーブーと文句を言っています(その割には皆さんマスクをあまり着用しません)。
僕自身もデリーの大気汚染には大変苦しめられております。冬場の10月から数カ月間は、外出するときにはN95マスクが必須なほどで、マスクを忘れますと喉が痛むだけではなく肺が悲鳴を上げます。
デリーは工場や排ガスの問題というよりも、周辺州の農民による野焼きが大気汚染の原因とのことですが、冗談抜きに大気汚染問題は大きな政治課題です。
こうした大気汚染対策のために、政府はヨーロッパの「Euro 6」規制と同等レベルのBS―Ⅵ(Bharat Stage VI)排出規制を2020年4月から施行し、ガソリン車・ディーゼル車の規制を強化しています。充電ステーションの不足がEV普及の大きな障害となっていますが、EVやHVの需要が高まることは必至でしょう。
先人が築いた「日本製品」のアドバンテージ
僕もインドで生活している日本人のひとりとして、日本の自動車ブランドがほとんどのインド人に知られていることを誇らしく思います。
以前「スズキさん」という方が日本からデリーにいらっしゃったときに、僕のインドの友人に紹介しましたことがありました。彼の名前を一発で「スズキさん! スズキさん!」と覚えてもらえたのは、インドでエリート層に限らず「スズキ」が有名だからです。
ナカガワさんよりスズキさんのほうがスグに覚えてもらえます(※日本全国の鈴木さん、おめでとうございます。日本でありふれた名前と思いきや、皆さんのネームバリューはインドで大逆転しました)。
EV化社会を迎えるインド市場で、日本の自動車関連企業の競争優位を、引き続きピッカピカに確立して欲しいところです。
すでに抜群に(!)成功した日本企業が多数存在することは、これからインド進出を考える日本企業にとっても、大きな意味で「日本企業への信頼性」が醸成されていることになりますので、ラッキーな状況です。
個人の僕でさえ現地にいますと、まずは「日本人」であることによってファーストインプレッションで好感をもたれるケースは多かったです。それと同様のこと(ポジティブなシグナリング効果。国家に結びついた「のれん」)はビジネスシーンでも起こり得ます。
インド内で先人たちの切り拓いた日本への信頼の道をたどっていけることは名実ともにアドバンテージがあります。
中川 コージ
IIMインド管理大学ラクナウノイダ 日印研究・産業開発センター
シニアリサーチアソシエイト(上席研究員)
