「日本人利用者の多い」銀行を選ぶのが王道
日本国内にも数多くの銀行があるように、香港やシンガポールにも多数の銀行があります。今回は、例えば香港で銀行口座を開設すると決めた場合に、いったいどんな基準で銀行を選べばよいのか、基本的な考え方を見てみましょう。
まず(香港サイドから見れば)外国人の口座開設を認めている銀行でなければ話になりません。近年では、香港の銀行も日本の税務当局等に情報を提供しているという噂があり、それに過敏に反応するあまり、現地でもローカル色の強い銀行で口座開設を希望する人が出てきています。ただ、こうしたローカル銀行の中には、外国人の口座開設を拒否したり、消極的な対応をするところもあるようです。極端なローカル銀行の場合には、仮に口座を開設できたとしても、その後のサポートなどで不安な点も多く、よほど語学に自信があるという場合以外には避けたほうがよいでしょう。
次に、インターネットバンキングが使いやすいということがポイントです。口座を開設した後は、簡単に店舗に足を運ぶことができない以上、インターネットバンキングの利便性は、銀行選びにあたって最も重視すべき点といえるでしょう。ただ、香港の有名銀行であれば、どこもインターネットバンキングには力を入れており、その使いやすさに実はそれほど大きな差はありません。
むしろポイントとなるのは、使い方などのマニュアルがどれだけ市場に出回っているか、ということになるでしょう。インターネットバンキング上の表示は、基本的に英語か中国語になりますので、語学に自信のない人の場合には、どうしても「マニュアル頼り」になってしまうのが実情です。
日本人の利用が多いHSBC(香港上海銀行)などであれば、さまざまな会社が利用マニュアルを作成していますので、送金などで利用するにしろ、投資口座として活用するにしろ、使い方で困ることは少ないといえます。また、インターネットバンキングの利用にあたっては、ちょっとした理由でログインできなくなるなど、思わぬトラブルに見舞われるケースが少なくありません。HSBCのように日本人利用者が多い銀行であれば、その解決策などを探すことも比較的容易といえます。やはり初めて口座を開設するのであれば、こうした銀行を選択するのが無難といえるでしょう。
日本のATMで現金が引き出せる銀行を選ぶべき
もう一つポイントになるのが、キャッシュカードの利便性です。日本の銀行の場合、キャッシュカードは基本的に日本のATMでしか使えません。しかし、国際金融都市・香港の銀行では、ATMの世界的なネットワークである「PLUS」や「EPS」などに加盟しているケースが多く(例えば、HSBCは「PLUS」に加盟)、香港以外の地域でも「PLUS」「EPS」などに対応しているATMであれば現金の引き出しなどを行うことができます。
日本のATMでも、例えば、ゆうちょ銀行やセブン銀行のATMは「PLUS」に対応しており、HSBCのキャッシュカードを使って現金を引き出すことができるわけです。現金の入金などはできないものの、引き出しができるというのは非常に便利であり、こうした要素も見逃したくはないものです。
なお、最近ではNWB(Nippon Wealth Limited, a Restricted Licence Bank)という新銀行も登場していますので、その利用を検討することも選択肢のひとつに入れたいところです。