担当者判断に振り回される現地での銀行口座開設
HSBCの口座開設は、現地の店舗に足を運んで行うのが基本です。以前は郵送申込みによる口座開設を受け付けていた時期もありましたが、現在は「原則」難しいと考えてよいでしょう。
わざわざ「原則」と書いたのには理由があります。実はHSBCの場合、口座開設の可否については店舗の担当者、あるいは支店長などによる裁量の部分が大きく、同じ人が同じ書類を準備して行っても、ある店舗ではすんなり口座が開設できたのに、ある店舗では拒否されたという事態が頻繁に起こり得ます。
ここが日本の常識が通用しない点です。例えば、日本の銀行の場合、同じ人が同じ書類を準備して行けば、どこの店舗に行っても口座開設の可否の結果は変わらないはずです。ところがHSBCの場合はそうではなく、それこそ担当者の気分ひとつで口座開設を拒否されるなんてこともあり得るのです。
インターネットなどでは、HSBCの口座開設に関する情報が氾濫しています。「日本人の口座開設は難しくなっている」なんて話もよく見かけますが、これも一面的な情報です。確かに、英語あるいは中国語でのコミュニケーションに難のある外国人については、HSBCとしても口座開設を断るケースが増えているようです。ただ、これもその判断は担当者レベルに一任されており、ある店舗はダメでも他の店舗に行ったら大丈夫だったというケースは少なくありません。1回ぐらい断られても諦める必要はまったくないでしょう。
サポート業者の人脈によって、必要書類が変わることも
より確実に口座開設をしたいのであれば、専門のサポート業者を使うのも一つの手です。ただ、同じサポート業者といってもそのレベルには相当な差があり、単に横で通訳を行うだけの業者から、窓口担当者、時には支店長レベルと「ツーカー」の関係を築いており、ほぼ間違いなく口座開設を実現させる業者まで多種多様です。
サポート業者を利用する場合、必要書類についても大きな差があります。通常は口座申込書のほか、パスポートと「現住所を証明できる書類」が一通必要になりますが、この「住所を証明できる書類」というのが大きく変わってくるのです。
サポート業者によっては、「英文の銀行残高照明が必要」と言うところもあるでしょう。英文の銀行残高照明については、発行してくれる銀行が日本国内では限られており、しかも所定の手数料がかかりますから、その入手は少しハードルが高いといえます。また、業者によっては「国際運転免許証が必要」と言うところがあるかもしれません。これも持っていない場合には、免許センターに行ってお金を払って取得しなければなりません。
ところが、業者によっては「日本の運転免許証で十分ですよ」と言うところもあるのです。これはもう現地HSBCとの「パイプの太さの違い」と言うしかないのですが、こういった曖昧な部分が確実に存在するのがHSBC口座開設の実態です。口座開設を検討するにあたっては、こうした事情も頭の片隅に入れておきたいところです。