(※写真はイメージです/PIXTA)
AIに仕事を奪われた…
プログラミングが初めてのAさんは、英語の講義についていくのがやっとの毎日。それでもなんとか留学の期間を終えましたが、本当に自分がプログラマーとして通用するのか、自信を持てません。
そのまま現地での就職、難しければ日本で外資系企業のエンジニアとして就職し、米国移住を夢見ていたAさんですが、現実は予想以上に厳しいものでした。講師の紹介で知り合った大学教授に現地の就職状況を尋ねたところ、衝撃的な答えが返ってきたのです。
「状況は最悪だよ。ここ数年で、生成AIが“書くだけ”のプログラマーの仕事を奪い尽くしてしまった。超一流大学の学生でさえ面接にすら呼ばれず、留学生の多くはビザが切れて帰国していく」
教授の話だけではなく、現地の記事やニュースなどでも同様の情報がたくさん出回っていました。Aさんが信じていた「プログラミング=高収入」という方程式は、AIによって完全に破壊されていたのです。
「AIに仕事を奪われ、留学が無駄になってしまいました。この先も予想だにしない人が仕事を失っていくのかもしれませんね」
目標を失いかけたAさん。日本に戻って留学資金を親へ返済するため、IT企業に就職。今日も「AIにはできない仕事」を探し続けています。
AIによる不況と、ホワイトカラーの終焉
AIの普及でなくなる仕事は多くありますが、IT業界も例外ではありません。いわゆる下流工程といわれるコーディング、テスト、データ分析など、これまで人間の手によって行われていたIT業務はすでにAIによって自動化されています。
Aさんが目指していたプログラマーのような仕事は今後需要が減り、AIと共存しAIを使いこなせるスキルを持つ人間だけが生き残れる時代になったのです。AIは凄まじい勢いで発達していますが、人間から仕事を奪うことで経済にとってはマイナスに働き、不況となる危険性も十分にあります。
AIやロボットが人間の仕事を代替え
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失業率の上昇
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収入減少・購買力の低下
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商品・サービスの需要減少
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企業利益の悪化、業績悪化
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さらなる失業率の上昇
AIやロボットはどれだけ働いても「消費」はしません。日本は人口減少や高齢化だけでなく、AI化によって現役世代の収入が減ることでも、商品やサービスの需要が減り、景気悪化に拍車がかかる恐れがあるのです。
米国はブルーカラー転職現象
この変化は、米国ですでに顕在化しています。Amazonは1万4,000人、マイクロソフトは1万5,000人の人員削減を発表しました。こうした企業はAI人材の獲得には積極的であり、「AIを使いこなせない人材」から「AIを使いこなせる人材」への大規模な入れ替えが進んでいます。
その結果、アメリカでは、世代によっては「不安定なホワイトカラー」から「安定したブルーカラー」へ転職する動きすら出ています。「FlexJobs」の職場に関する意識調査(Workplace Shifts in 2025)では、ホワイトカラー労働者の62%が、高い収入と安定を求めてブルーカラーへの転職を検討している、という調査結果もあるほどです。