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「稼いだ分だけ使ってしまう」家計収支に無頓着なITエリート
SIer企業でプロジェクトマネージャーとして勤務するAさん(38歳)は、独身のサラリーマン。さらなる年収アップを考え、大学卒業後から約15年間勤務してきたIT企業からの独立を考えています。しかし、ほとんど貯蓄もないことに急に不安を感じはじめました。
Aさんの年収は1,200万円。しかし、タワーマンションの家賃や外食、ワインなどの高級酒にお金をかけ、家計収支には無頓着でした。まもなく40代に入ることで、「家庭も持ちたい」「老後はどうしようか」と考えつつも、日々の生活に流されてしまい、深く考える機会がありませんでした。
そんなAさんに、最近転機が訪れたのです。1年前にマッチングアプリで出会った女性と真剣に結婚を考え、彼女に「そろそろ独立しようと思うんだ」と打ち明けました。
すると彼女は、「すごいね! ……でも、その前に、これからの生活設計とか、お金のことも一度ちゃんと共有しておきたいな」と堅実な答えを返します。少しマズいかなと思いつつも、Aさんは彼女とお互いの預金通帳を見せあいました。
Aさんの通帳を見た彼女は、一瞬笑顔が凍り付き、言葉を失ってしまいます。彼女のその反応を見て、「自分は思っていたよりヤバいのか」と初めて気づいたAさん。
結婚・独立を間近に考えたいま、“お金と暮らし方”について、真剣に考えなければなりません。高給であるがゆえに陥りやすい罠と、IT従事者の老後資金設計について解説します。
高収入でも貯まらない?IT従事者が陥る「3つの罠」
IT業界は平均年収が高い企業も多く、なかには社員の平均年収が1,000万円を超えている企業もあります。しかし高給のせいか、住宅ローンや老後資金設計などのマネープランについて、あまり深く考えていないIT従事者も多いようです。陥りやすい罠についてまとめてみました。
1.目の前の収入に安心しすぎる
高年収であるため、現在の生活に満足し、老後への危機感が薄れることがあります。結果として、支出も所得に比例して増えていき、貯蓄が思うように進まない「高所得者の罠」に陥りがちです。
2.公的年金への過度な誤解
公的年金制度の仕組みをよく知らないことで、「多く稼いでいるから、老後の年金も相応にもらえるだろう」と過信してしまうケースがあります。しかし、厚生年金には保険料の上限があるため、年収に比例して年金額が無限に増えるものではありません。
3.税制優遇制度の活用不足
iDeCoやつみたてNISAなど、高所得者ほどメリットが大きい税制優遇制度があるにもかかわらず、その存在を詳しく知らなかったり、「増やさなくても困らない」と考えたり、手続きの煩雑さから後回しにしてしまったりする人もいます。