(※写真はイメージです/PIXTA)

本連載は、三井住友DSアセットマネジメント株式会社が提供する「市川レポート」を転載したものです。

●参院選について3つのシナリオを想定し、それぞれについて政局の行方と市場の反応について考える。
●与党改選63議席以上獲得なら市場は好感、50議席以上、62議席以下なら影響は限定的か。
●49議席以下ならリスクオフか、参院選までは内閣支持率や各党の政策内容などの見極めが大切。

参院選について3つのシナリオを想定し、それぞれについて政局の行方と市場の反応について考える

参議院議員の任期は6年で、3年ごとに定数248議席の半数である124議席が改選されます。今年は7月28日に任期満了を迎える参議院議員の選挙が行われ、報道によると「7月3日公示、20日投開票」の日程が有力視されている模様です。衆議院と参議院の政党別議席数は[図表1]の通りですが、衆議院で少数与党の自民党、公明党の両党が、今回の参議院選挙で過半数を維持できるかどうかが大きな焦点となります。

 

そこで今回のレポートでは、参院選に関する3つのシナリオを想定し、それぞれについて、政局の行方と金融市場の反応を展望します[図表2]。シナリオについては、与党の改選議席の獲得数に基づき、(1)63議席以上(改選過半数を獲得)、(2)50議席以上、62議席以下(非改選議席を含め参議院で過半数議席を維持)、(3)49議席以下(非改選議席を含めても参議院で過半数割れ)の3つに分け、弊社は(2)を与党の勝敗ラインと考えています。

 

[図表1]衆議院と参議院の政党別議席数

 

[図表2]参院選で想定されうる3つのシナリオ

与党改選63議席以上獲得なら市場は好感、50議席以上、62議席以下なら影響は限定的か

まず、(1)は与党が大きく勝利するケースで、石破茂政権の基盤強化につながり、消費税減税などを巡る野党の発言力は弱まることも予想されます。相場の観点からは、一般に政局の安定は好材料であり、国内株式市場や円相場の落ち着いた反応、財政悪化懸念の後退に伴う長期金利の上昇圧力低下が見込まれます。また、与党は参院選勝利の勢いに乗り、石破首相のもと、衆議院の解散総選挙に打って出ることも想定されます。

 

次に、(2)は石破政権には及第点となるケースで、石破首相は当面続投となり、消費税減税などを巡る与野党の発言力に大きな変化はないとみられます。参院選前とあまり政局を取り巻く状況が変わらないため、選挙結果が直接的に国内金融市場に与える影響は限定的となる可能性が高いと思われます。また、与党が連立拡大を模索する場合は、日本維新の会や国民民主党が協議先になると考えられます。

49議席以下ならリスクオフか、参院選までは内閣支持率や各党の政策内容などの見極めが大切

そして、(3)は与党が勝敗ラインに届かないケースで、自民党内に「ポスト石破」に向けた動きが加速し、減税などを巡る野党の発言力が強まることも予想されます。政局の不透明感が高まれば、国内の金融市場はリスクオフ(回避)で反応し、財政悪化懸念で長期金利に上昇圧力がかかることも見込まれます。なお、政権交代は野党の結束が必要で難しい面がある一方、局面打開のため、自民党総裁交代、解散総選挙という与党側の動きが注目されます。

 

参院選までは、まだ1カ月以上あるとみられ、それまでは内閣の支持率や、各党が選挙に向けて掲げる政策の内容などを見極めることが大切と思われます。また、国内金融市場への影響という点では、日米関税交渉の進展に加え、米国の雇用など経済指標の変調とそれに伴う米金融政策の見通しの変化なども重要な材料であり、これらの動向もあわせて注目しておく必要があると考えます。

 

 

※当レポートの閲覧にあたっては【ご注意】をご参照ください(見当たらない場合は関連記事『参議院選挙で想定されうるシナリオと金融市場の反応【解説:三井住友DSアセットマネジメント・チーフマーケットストラテジスト】』)。

 

 

市川 雅浩

三井住友DSアセットマネジメント株式会社

チーフマーケットストラテジスト

 

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